介護業界の働き方改革
介護業界の働き方改革
内閣府が公表した高齢社会白書によると、日本の全人口の27.7%が65歳以上の高齢者となっています。しかも、その割合は年々増加し、2065年になるとおよそ40%に当たる2.6人に1人が高齢者になると予測されています。しかし、介護現場の職員はそれほど増える見込みがないのが現状です。
需要増かつ人手不足
現状、福祉施設の介護職員を中心に3K職場と認識され、きつい、きたない、きけんと言われ、介護職員は、労働条件が厳しく重労働、排泄介助やおむつ交換など、感染症のリスクも高く、腰痛など身体に危険な職業など、いいイメージはあまりなく、ここから先高齢者の増加する一方でやりたがる人が居ないのが現状です。
働き方改革の取り組み
ライフスタイルに合わせた勤務形態
介護の現場で人材不足が続いている理由としては、介護する必要のある高齢者が増えているだけではありません。介護を担当する現場の職員になろうとする人材そのものが不足しているのです。つまりこれは、介護の分野で働くことに魅力を感じる若者が少ないことを意味しています。介護労働安定センターが2017年に調査したところ、介護職を辞めた人の理由のなかに「結婚や出産・育児が重なると難しい」という回答が多くありました。つまり、介護職員として働く人を増やすためには、職員の労働時間や勤務体制への配慮を欠かすことはできません。
たとえば、24時間の介護が必要な現場では、夜勤の仕事は必要不可欠です。しかし、夜勤を行うとどうしても職員の身体にかかる負担は大きくなります。夜勤と日勤を繰り返す不規則な勤務体系をそのままに放っておくと、体調不良を起こして離職してしまうケースがあるのも事実です。貴重な人材を失うばかりか、介護職は激務という風評が広がり、新たな職員を見つけることが難しくなります。そこで、大切なのが職員のライフスタイルを重視した勤務体制を取り入れる取り組みが挙げられます。
また、介護の仕事は人間相手の職場であるがゆえに、残業をしなければいけないケースもありました。例としては帰宅時間になっているにもかかわらず、利用者の対応が終わっていないケースや次の担当者に申し送りができていないケースなどです。しかし、このようなケースは代わりの職員が他にいれば、無理に残業する必要はないといえます。そこで、帰宅時間になっても帰らない職員に対して、上司などが気を利かせて帰宅するように声をかける取り組みをしている事業所も増えてきています。
分業制の導入
介護職員の働き手がなかなか見つからないのは、職員1人当たりの負担が大きいという理由もあります。介護の現場では高齢者の食事、入浴、排せつといった生活を送るうえで欠かせない行為のほとんどのケアを行わなければいけません。そのため、介護職員の精神的、肉体的な消耗はかなりのものがあります。しかも、介護施設は年中無休で稼働しなければならず、もともと人手が足りない職場で働く職員の負担は相当なものがあるでしょう。特に問題視されるのが、本来の介護業務以外の業務をこなさなくてはいけない点です。
介護職員とは本来、利用者の身の回りのケアを行うことが本職のはずです。しかし、施設の状況によっては人手が足りないからという理由で、多くの事務作業やレクリエーション計画などを兼務しています。そこで介護職員の負担を軽減するための方法として始まっているのが業務の明確化に向けた取り組みです。具体的には、送迎や清掃といった介護職員でなくとも対応できるサービスについては、専門業者へ依頼することが挙げられます。
重要なポイントは、専門的な知識が必要な仕事とそうでない仕事をきちんと整理しておくことです。介護事業のサービスは大きく分けて入浴や排せつの介助などの専門知識が必要な仕事と、送迎や清掃といった専門知識がなくてもできる仕事の2つがあります。分業制を採用するときは専門知識がなくてもできる単純な仕事を外部へ委託するようにしましょう。
外国人人材
外国人介護職の確保に向けて、改正入国管理法が施行され、新たな在留資格「特定技能」の中に介護が追加されました。受け入れを希望する介護事業者からの申請が始まっており、順次現場で外国人介護職の受け入れが開始します。 ただし、外国人にとって介護施設が働きやすい環境でなければ、現場を支え、より良い介護サービスを維持することは困難です。
まとめ
これから高齢者の増加に伴い介護に関しては需要が大幅に増加すると見込まれます。働き方改革を進め人材確保と環境改善が急務となっております。働きやすい環境を作り出し、人材の確保に努めることが重要となります。