2020/11/19

放置はリスク大 中小企業の残業規制対策

放置はリスク大 中小企業の残業規制対策

中小企業も2020年4月から残業規制

働き方改革の一環として、大企業には2019年4月から時間外労働の上限が導入されました。
中小企業においても、2020年4月より原則として月45時間・年360時間というルールが導入されました。

中小企業の定義

中小企業とは資本金の額または出資の総額、常時使用する労働者の数のいずれかが基準の範囲を満たしている会社と定義されています。業種によって資本金・出資金の総額、常時使用する労働者数の要件が異なるためよく確認しましょう。

  • 資本金5000万、従業員数50人以下の小売業
  • 資本金5000万、従業員数100人以下のサービス業
  • 資本金1億、従業員数100人以下の卸売業
  • 資本金3億、従業員数300人以下のその他業種

時間外労働時間の上限規制について

残業は原則月45時間、年間360時間まで

時間外労働時間の上限規制は従来の36協定の特別条項付き協定の締結により、36協定で定める上限時間を超えた時間外労働が可能でしたが、今後は原則として月45時間、年間360時間までに制限され、特別な事情があっても残業時間は年720時間以内しか認められなくなり複数月における残業時間の平均が80時間以内であること、時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満となること、月45時間を超える残業ができるのは、最大でも年間6か月という制限が付きます。
これまでの残業規制は行政指導のみでしたが、今回は法律による規制です。違反した場合、企業側に6か月以下の懲役か30万円以下の罰金が科されます。悪質な場合は企業名が公表されます。

2023年からは法定割増賃金率50%以上が義務化

2023年4月より中小企業における1カ月に60時間を超えた時間外労働の法定割増賃金率が25%から50%に引き上げられます。

健康確保措置を必ず取り決める

新制度のもとで特別条項を定める場合は、健康確保措置をとる必要があります。月の残業時間が45時間を超えると一般的に脳や心臓の病気にかかるリスクは高まるといわれています。そのため新36協定では、それを超える労働時間を課す場合の対応が企業に義務付けられています。

残業規制の現状

2020年4月に中小企業でも適用されましたが、現状としてはどうなっているでしょうか。?

認識不足で対応に遅れ

経営者の認識不足や厳しい労働環境などから対応の遅れが目立っており、日本商工会議所が2~3月に全国の中小企業を対象に実施した調査によると約2割の中小企業が残業規制への対応のめどがついていないと回答、法施行直前のタイミングにもかかわらず約16%の企業が法律について内容は知らないあるいは名称も内容も知らないと回答しており認識不足が大きな課題となっております。

対応放置のリスク

中小企業側もいくら困難だからといって問題を放置すると大きなリスクになりかねません。労働基準監督署も取り締まりを強化しており、中小企業に関しても厳しい対応を行っております。行政処分の対象とならなくても、同時に改正された民法によりこれまで2年間だった未払い賃金の請求期間が3年に延びたこと、未払いの残業代請求をビジネスチャンスとして弁護士が未払い残業代請求対応を始めたことで企業に大きなダメージを受ける可能性があります。
労働事件では一般的に労働者側の主張が通りやすく、紛争が起きた際の企業の負担は大きくなります。

取るべき対応は?

残業の上限規制に対応するため、労働時間を減らすだけだと、仕事量は変わらないのであちこちに無理が生じてしまいます。 そうならないためには、経営者や管理職者が現場の労働時間の実態を把握した上で、業務効率化に取り組み、生産性向上を実現させる必要があります。法改正への対応が最終的に生産性向上につながります。

ITツールによる労働時間の把握

ITツールの導入による労務管理は人事総務部の労務管理業務を効率化できます。勤怠管理システムと連携することで、労働時間も把握しやすくなり、長時間労働の是正に向けた面談の実施、適切な労務管理につなげることが可能です。

まとめ

残業規制が中小企業でも適用となり、企業にはますます時間外労働についての徹底した管理が求められます。 特に、時間外労働の上限規制については、規制内容がとても細かいため、どのように労働時間を管理するのが適切か、検討の必要もあります。 また、新型コロナウイルスの影響で経営環境の悪化が予想され、対応義務があるからと目先の対応をするだけでなく、コロナの影響と今後も想定し、生産性向上を図る姿勢が企業には求められています。

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