2020/11/13

なぜ進まない?日本の女性活躍の現状

なぜ進まない?日本の女性活躍の現状

女性管理職3割目標2020年30%から2030年までに先送り

政府は、社会の指導的地位に占める女性の割合を30%程度にするとした目標を先送りし、2030年代に指導的地位にある男女の比率が同水準になることを目指すとする新たな目標を掲げる方針を固めました。
女性の社会進出を後押しするため、政府は、社会の指導的地位に占める女性の割合をことし2020年までに30%程度にするとした目標を掲げていましたが、国家公務員や民間企業の女性管理職の割合が依然として低い水準にあることなどから達成は困難だとして、今年までの目標の達成を断念し、達成を目指す時期を「2020年代の可能なかぎり早期に」へと変更し、先送りすることになりました。
このように政府が後押しや目標を立ててもなかなか思うように女性の社会進出は進みづらいのが現状です。その背景には何があるでしょうか?

達成できなかった理由

この目標は2003年6月20日男女共同参画推進本部で決定し、2014年の世界経済フォーラムWEF年次総会ダボス会議で2020年までに、指導的地位にいる人の3割を女性にすると宣言したことにより実現に注目が集まっておりました。達成できなかった理由として家事やケアワークの負担が女性に偏りがち、キャリアと家庭の両立支援が不十分との指摘が多くありました。
女性活躍社会を目指すには、法律や制度、ルールを設計する意思決定の場に女性が参画することが重要です。議員選挙では120以上の国で、候補者や当選者についてどちらの性も40%を下回らないなどと法律で定めたり政党が自主ルールを設けたりするクオータ制が導入されています。欧州を中心に企業の役員会にもクオータを設ける国も。しかし日本では議論が深まっていません。

日本の女性活躍の現状

ジェンダー・ギャップ指数」G7最下位

世界各国の男女平等の度合いを指数化したジェンダー・ギャップ指数2020報告書が、2019年12月17日に世界経済フォーラムにより公表され、日本が前年の110位から順位を下げて153カ国中121位で過去最低となっております。経済、教育、保健、政治の 4 分野の中で、日本が後れを取っているのが、経済分野と政治分野。いずれの項目においても、意思決定への参画やリーダー層の男女比において女性の存在が際立って低いのが現状です。

管理職登用を望まない女性が多い

そもそも女性たちが昇進を望んでいないという声もあります。登用を希望しない理由をみると、仕事と出産・育児両立の難しさやロールモデルの不在などがあります。
また今までの、いい大学から有名企業に入り出世・昇給することが幸せに繋がるとされてきた昭和の価値観。そのために、競争が全てで、無駄な長時間労働や無慈悲な単身赴任に耐える必要という風潮が多く残っているのも要因としてあげられます。

女性を育成する風土がない

女性自身の仕事に対する意識が低いことや、良質な仕事にアサインしてもらえていないことから、中堅になる前に退職するケースが多いです。 この背景には、「女性は結婚や出産を機に家庭に入るべきだ」という考え方や、家庭を持った女性に対して重要な仕事を任せない企業の慣習などがあります。
女性の活躍を推進するにためには、まず女性を育成する環境を整えることが重要となり、 男性型の社会構造を見直し、女性も働きやすい環境や制度を経済や政治分野で整え、女性リーダーを周りが支援し、女性自身もリーダーになる主体性を持てる社会を作っていく必要があります。

女性活躍実現ののポイント

女性社員の状況や想いを正しく理解する

女性活躍推進に成功している企業では、女性社員の状況や想いを正しく理解すること、ニーズを汲み取ることに注力しています。 逆に、女性活躍推進がうまくいっていない企業では育児中の女性社員に配慮するあまり、責任のある仕事は時間制約のない社員が行う体制になっている。など女性社員への配慮の仕方が違っている、配慮が行き過ぎているというケースが多くみられます。 実際に女性社員の話をしっかりとヒアリングすることで、本当に配慮してほしいポイントを理解することが重要です。

働き方の選択肢を増やす

働く時間や場所などのに対して選択肢を用意し状況に応じて選べるようにすることが重要です。 女性社員の働き方の希望はライフイベントや本人の志向により様々です。 育児中であっても、「時短勤務で残業をせずに、子どもとの時間を優先したい人」、「さらなる成長を目指し時間をうまくやりくりして管理職で働き続けたい人」など。 選択肢がある分、働き続ける選択をする女性が増えます。

育児中の女性だけではなく全社員を対象にする

企業の女性活躍で見落とされがちなポイントとして、育児中の女性だけではなく全社員を対象にするという点があげられます。 制度を作る際には、育児中の女性だけではなく、介護中や副業をしている男性なども含めた全社員を対象とした制度にするべきです。 育児中の女性だけが利用できる制度にすることで男女格差につながり、男性は長時間働くことが当たり前の風土ができ、夜の時間帯の会議が多くなるなど結果的に女性活躍を阻害してしまう結果になるケースも発生しています。 育児中の女性だけが利用できる制度では、フルタイム勤務の女性や男性からの不満につながりかねません。 皆が平等に利用できる制度にしたところ、会社全体の離職率が下がったという企業もあり全社員を対象にすることでのプラスの面が大きいようです。

まとめ

女性活躍というトレンドに乗っかるだけではなく、男女全社員の働き方、会社の仕組み自体を変革していかなければ根本的な解決にはなりません。 企業の文化や働き方が変われば、女性社員のみならず、全社員の在り方・成果も変わってくるはずです。

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