公務員の働き方改革の事例
公務員の働き方改革の事例
働き方改革による長時間労働是正の動きは民間だけでなく、公務員などにも広まりつつあります。 実際にどの様な動きがあるでしょうか。
目次
公務員の働き方改革動向
人事院が国家公務員の残業時間規制を改正
2019年2月1日には人事院規則15-14(職員の勤務時間、休日及び休暇)として、正式に一部改正、改正労働基準法と同様、2019年4月1日から施行されることになりました。
具体的には、超過勤務命令(時間外労働)の上限時間を、1か月について45時間かつ1年について360時間までと規程を改正。他律的業務の比重の高い部署に勤務する職員に対しても、1か月について100時間未満かつ1年間720時間までという、明確な上限が設けられました。
フレックス制の導入
実は2016年より国家公務員全職員に対してフレックスタイム制が導入済みとなっております。地方公務員については、国家公務員の様にフレックスタイム制の全体拡充はされていませんが、各自治体において時短勤務制度など一部でのみフレックスタイム制が本格的に導入している自治体も少なくありません。
働き方改革では、柔軟な働き方がしやすい環境整備においてフレックスタイムの導入が推奨されており、多くの一般企業ではフレックスタイムが導入されているのにも関わらず、実際には稼働されていない現状があったため、これを踏まえ、働き方改革の一環として国家公務員へのフレックスタイム制度導入に総務省が踏み切りました。
テレワークの導入
国家公務員にも積極的にテレワークを導入できるように取り組みがされています。国家公務員にテレワークが導入されれば現場での拘束時間が少なくなり、付随した通勤時間なども短縮されるので、負担が軽減され生産性の向上や長時間労働の是正にも繋がります。
しかし、機密性の高い業務を行なって関係上テレワーク業務での情報漏洩などのリスク管理の課題も残っています。
地方公務員の働き方改革
公務員の働き方改革は国家公務員の方でも民間に追従する様に少しづつ行なわれておりますが、地方でも働き方改革を積極的に行おうとしている地方自治体が目立つようになってきています。
副業解禁の神戸市
これまで、法律で禁止されていることもあり、公務員のダブルワークは基本的に自治体から禁止されてきました。
しかし、こうした考え方は政府が推進してきた働き方改革と矛盾をなす内容であり、多くの自治体で公務員のダブルワークを認めるかどうかが議論されてきました。
そんな中兵庫県神戸市で、2017年4月より、神戸市は職員が副業を行うことを認めると発表しました。
副業先はNPO団体など公共性の高い組織に限定されており、すべての副業が容認されたわけではありません。また、勤務時間外に限る常識外の報酬額を受け取ってはいけないなどの条件も課せられています。
川崎市の働き方改革のプログラム
神奈川県川崎市では多様化する住民のニーズに応えるため、自治体のサービス向上に努めてきました。しかし、一方で職員に過度な責任と仕事量を与える弊害も起こり、ワークライフバランスをいかに保つかが重要な課題になっていきました。
そこで、2018年4月から川崎市は働き方改革の取り組みとして、川崎市働き方・仕事の進め方改革推進プログラム」を作成しました。同プログラムにより職員のワークライフバランスと市のサービス向上を両立させるのが大きな狙いです。川崎市働き方・仕事の進め方改革推進プログラムでは、36協定の厳守、ノー残業デーの実施、午後8時を超える残業の禁止などを細かく指導しています。
また、会議の進め方やシステムの導入など、業務効率化に向けた取り組みも推奨し、現場が実践していくよう促しています。そのほか、テレワークの施行なども推進されています。
大阪府の長時間労働抑制システム
大阪府では職員のPCを午後6時以降は強制終了し、長時間労働を抑制する施策を打ち出しました。以前から同様の施策を府内の市区町村の一部で行なわれていました。
残業申請を行わないと午後6時以降のPC使用が出来なくなります。
しかし申請の手間が増えて逆に仕事が終わらなくなるという懸念もあります。
まとめ
地方公務員の働き方改革も積極的に行おうという動きは今後も多くあるでしょう。有事や災害時に働かざるを得ない公務員に、働き方改革が浸透するには時間がかかりそうですが、着実に前進していることが分かります。