建設業の働き方改革事例
建設業の現状と課題
建設業は復興・五輪需要で働き手の確保が困難な中、工期が短い工事もあり、労働時間短縮、休日取得日数の増加、人材確保が主な課題です
働き方改革に取り組む建設企業の事例
さまざまな懸念があるなかでも、建設業界は長時間労働の是正を進め、働き方改革を推進していかなければなりません。なぜなら、5年間の猶予があっても建設業働き方改革加速化プログラムは、2024年に必ず施行されるからであり、将来的な人材確保のために構造的な改革を断行しなければならないからです。
そんな中建設業働き方改革加速化プログラムの施行を見据え、すでに働き方改革に着手している建設企業もあります。
鹿島建設株式会社中部支店
長時間労働が当たり前とされてきた職場環境を改善すべく、労使で働き方改革に取り組んでいます。
具体的には事業所4週6閉所の推進、労働効率向上による残業時間の削減、働き方計画表による業務と労働時間の可視化に着手。年次有給休暇の計画的付与、育児・介護休業制度の整備とともに取り組みを開始しました。
特に10%削減という、具体的な数値目標を設定した残業時間の削減計画では、毎日従業員のログイン画面に現時点での残業時間、昨年平均の残業時間を表示させ、自主的な業務改善への取り組みを促しました。働き方計画表も併用した業務内容の改善を続けた結果、全社員の平均で10%の産業削減という目標も達成しました。
矢作建設工業株式会社
ワークライフバランスの確立を目指し、年次有給休暇の取得促進、福利厚生サービスに力を入れた働き方改革に取り組んでいます。
新入社員でも年間10日の有給休暇が付与される同社では、年間5日以上の有給取得を義務化。リフレッシュ休暇やゴールデンウィークなどの特別休暇とあわせ、積極的な休暇取得を奨励、アウトソーシングされる福利厚生サービスとともにワークライフバランスの確立に取り組んでいます。
ノー残業デーや勤務間インターバル制度で労働時間削減にも取り組んでおり、打刻時間と申告時間の剥離が生じている社員には、都度ヒアリングして修正しています。適切な労務管理の実現するには、正確な勤務実態を把握する必要があるため、今後の働き方改革に向けての課題となっているようです。
株式会社楓工務店
伝達効率の改善例としてこの企業では、社内外問わず日に100件もの電話があり、その他にも口頭での連絡や付箋での伝言もあり、伝達ミスや把握漏れを起こさないかが課題となっていました。
そこでChatworkを導入、連絡事項はすべてChatworkのみでやり取りできるようになり、タスク機能で連絡と指示が確実に伝わるようになりました。今すぐ対応が必要でない連絡事項はまとめてタスク化し、電話をかける必要が減ったのです。
さらに社外との連絡も基本的にはChatworkを用いることで、注文や発注確認、現場への指示も、優先順位をつけて連絡できるようになりました。
建材屋とは発注ミスが減り、現場には相談箇所を写真で共有することで電話をせずとも要件を確認できるようになり、効率化に成功しました。
働き方改革をすするためには
現場レベルですすめられる働き方改革については、ITを積極的に取り入れ効率化や省力化を行っていく、スマホのアプリで工程管理を行っている現場も増えてきています。 独自にシステムを開発し、現場の効率化を図ろうとしている企業も多いです。こういった取り組みが評価されることで全体で働き方改革を推進できる可能性があります。
まとめ
建設業界が抱える構造的な課題や、ほかの産業に比べた長い労働時間などの要因により、建設業の長時間労働是正が簡単なものではなく、猶予期間が設けられていても実現が容易ではありません。
構造的な課題の解決に向けた取り組みは始まったばかりであり、現時点でできることに着手し、少しずつでも働き方改革の実現に向けて進めて行くことが重要となります。