国会議員の育休
国会議員の育休
小泉環境大臣が、初めて環境大臣という要職に就く議員が育休を取得したことで大きな話題となっていますが、そもそも国会議員などの育休制度とはどのようなものなのでしょうか
国会議員の育休取得
国会議員に育休の規定はありませんが、産休については、衆議院、参議院ともに規則で定められています。
- 衆議院規則:第185条2:議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる。
- 参議院規則:第187条:公務、疾病、出産その他一時的な事故によつて議院に出席することができないときは、その理由を記した欠席届書を議長に提出しなければならない。
もともと、両院には産休に関する規則はありませんでしたが、参議院では2000年になって改正されました。きっかけとなったのは、出産前日まで議員活動をしていた自民党の橋本聖子参議院議員が、参院議長に出産による本会議欠席届を提出し、受理されたことでした。これを機に参院規則が改正され、産休が認められることになりました。
国会議員の育休に対する批判
小泉大臣の育休取得には肯定的な意見がある一方、政治家の仕事は育児休暇を取ることではなく、国民が安心して育児休暇を取得できるための法を整えることではないのかという批判が相当数あります。
政治家が育児のために仕事を休むことを否定するわけではありませんが、政治家自身が育児休暇を声高に宣言することで民間の育休取得に直接つながるわけではありません。実際問題やって欲しいのはパフォーマンスではなく、子育て世代が育児休暇の間ぐらい、休んでも経済的に不安がないよう、法や制度を整えることです。
これまで産休を取得した国会議員
産休としての事例は国会議員として憲政史上初めての産休取得は、1949年の園田天光光氏です。これまでの間に9人が産休を取得しています。
- 2000年6月 橋本聖子参院議員(比例区、自民党、当選4回)
- 2003年11月 有村治子参院議員(比例区、自民党、当選3回)
- 2007年12月 小渕優子衆院議員(群馬5区、自民党、当選7回)
- 2011年1月 野田聖子衆院議員(岐阜1区、自民党、当選9回)
- 2014年10月 吉川ゆうみ参院議員(三重選挙区、自民党、当選2回)
- 2019年10月 鈴木貴子衆院議員(比例北海道、自民党、当選3回)
衆参両院の規則改正以降、衆参両院それぞれの議員が産休を取得していることが分かります。
地方議員の育休
全国の男性地方議員で、2019年までの15年間に妻が出産した627人のうち、出産に伴う休みを取得した人は23人と、約4%にとどまっている事が豊島区の永野裕子区議の調査で判明しております。地方議員の場合国会議員と比べ拘束時間が短いという事情もありますが、地方の無理解なども要因として考えられます。
まとめ
小泉進次郎環境大臣の育休取得により、男性の「育休」についての議論や実際の取得の動きが進んでいくのかもしれません。永田町での育休だけでなく、社会全体の今後の動きに引き続き注視しましょう。