2020/12/02

罰則がある?女性活躍推進に取り組まなかった場合のリスク

女性活躍推進に取り組まなかった場合のリスク

女性活躍推進法とは

2016年4月1日、政府は女性活躍を実現するために女性活躍推進法を定めました。 「女性が仕事で活躍する」といった内容を事業主に対して義務化したことです。 女性の活躍推進に向けた数値目標を含む行動計画の策定及び公表、女性の職業選択に役立つ情報の公表が、国や地方公共団体、民間企業等の事業主に義務付けられました。

女性活躍推進法に基づく取り組み

こうした基本原則の実現のために、同法は国、地方自治体と企業等に以下のような取組内容を定めています。

  • 女性の活躍推進の基本方針、企業等が作成する「行動計画」の指針の策定
  • 企業の優れた取組への認定、発注先としての優遇扱い
  • 女性の職業選択に資する情報の公開、啓発活動、職業紹介、訓練、起業支援等による支援
  • 国の機関に勤務する女性のための行動計画の作成及び実施状況の公表
  • 管轄地域での女性活躍推進の計画作成
  • 働いている女性等からの相談対応、関係機関の紹介、情報提供、助言
  • 国が女性活躍推進で優良と認定した企業への発注先としての優遇扱い
  • 自治体の機関で勤務する女性のための行動計画の作成及び実施状況の公表

企業等の場合(300人以下の企業は努力義務)

  • 女性採用比率、勤続年数男女差、労働時間、女性管理職比率等、企業の女性活躍についての状況把握、課題分析
  • 状況把握及び分析に基づき、課題の解決ができる適切な数値目標と取組内容を含めた行動計画の策定、届出、周知、公表
  • 企業の女性活躍についての情報公開

厚生労働省によると、2017年12月末時点で行動計画策定等の義務のある一般事業主の99.7% にあたる16,071社が行動計画を届けています。努力義務とされる300人以下の一般事業主での策定・届出数は3,866社です。

女性活躍推進に取り組まなかった場合のリスクとは?

上記の定められた実施義務を行わなかった場合、企業に対する罰則はあるのでしょうか。

罰則はないがイメージを損なうリスクがある

女性活躍推進法には罰則規定がありません。実施義務を行わなかったという理由で、企業及び社員が罰せられるということはありませんが、イメージダウンに繋がる可能性があります。
また現時点で罰則などは無いですが、一般事業主行動計画は殆どの対象企業が提出しているため、届け出は強く推奨されており、今後罰則など対応が変わる可能性もあります。また下記のデメリットがあります。

助言・指導もしくは勧告を受ける可能性がある

行政は必要に応じて事業主に報告を求めて助言・指導もしくは勧告を行うことが可能となっており、企業に指導が入る可能性はあります。

公開されていないことがイメージダウンにつながる

厚労省のサイトで企業の情報が公開されているため、公開していない場合は企業イメージを損なう可能性もあります。求職者が企業の女性活用状況を知ることが出来ないため、人材確保の面でネックとなる可能性があります。

一般事業主行動計画の届け出の進め方

301人以上の大企業については女性活躍推進法による取り組みの実施義務があり、一般事業主行動計画の届け出を行う必要があります。

自社の女性の活躍状況の把握・分析

現状を把握し、自社の課題点を洗い出します。チェックすべき必須項目は下記になります。

  • 女性採用比率
  • 勤続年数男女差
  • 労働時間の状況
  • 女性管理職比率

分析を元に行動計画の策定と情報公表

上記の必須項目を踏まえ、具体的な行動計画を策定します。これを、一元化されたデータベースである女性の活躍推進企業データベースを通じて外部に公表します。 厚生労働省から用意されている一般事業主行動計画策定入力支援ツール、一般事業主行動計画策定支援マニュアルもありますため、こちらを使用しましょう。

労働局への届け出

行動計画を策定したら、管轄の労働局へ届け出をします。電子申請、郵送、持参で届け出を行うことが可能です。厚労省が省令で定める情報から、事業主が女性の活躍に資すると考えるものを公表する必要があります。

まとめ

女性活躍推進法には罰則規定がありません。そのため、実効性を疑問視する声もありますが、法的義務である事に変わりはありませんので、罰則の有無に関わらず取り組みを行う事が重要となります。また女性活用を積極的に行うことや、行動計画や実施義務の届け出を行うことにより、企業のイメージアップに繋がり、何もしないことよりも大きなメリットがあります。

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