労働基準監督署に相談できる事とは?
目次
労働基準監督署とは
ブラック企業問題の話題でよく出てくる労働基準監督署。実際どのような組織で企業に対しどのようなことを行うのか知っている人はあまりいないと思います。実際どのような事をするのでしょうか?
労働基準監督署に相談できる事
労基署は、管轄区域内の企業がきちんと労働基準法を守って適法に営業しているかどうかを監督する機関です。そこで労働基準法違反の事実があれば、労基署は積極的に動いてくれます。
対応できるトラブル
労働基準法違反となり対応が期待できるのは以下のものです
- 賃金が支払われていない
- 残業代が支払われていない
- 36協定なしに長時間労働をさせている
- 性別、思想信条などにもとづく差別的な解雇が行われた
- 休憩時間をもらえない
- 有給休暇を取得できない
- 給料が現物支給になっている
- 退職しようとしたら給与から違約金を差し引かれた
- やめたいのに強制労働させられている
- 労災に遭ったのに会社が対応してくれない
対応が難しいトラブル
以下のようなケースでは労働基準法違反にならないので労基署による対応は期待できません。特にパワハラ等を禁止する法律は労働契約法となっており扱う法律が違うためです。しかし、労基署内の総合労働相談コーナーでは、パワハラなどのトラブルに関して相談や情報提供を行うことが出来、その中で労働基準法に抵触するものがあれば対応できる可能性があります。総合労働相談コーナーでは、相談内容を聞くとともに、労働者に対して社内解決が難しいかどうか話を聞き、第三者解決機関による介入の必要があるか判断します。
- セクハラを受けた
- パワハラを受けた
- 能力不足で解雇された
- 経歴詐称で解雇された
- リストラされた
- 異動、配置転換された
- 懲戒処分を受けた
相談のメリット
無料で相談できる
労基署は、国が設置している公的な機関であり、事業者への監督や刑事的な捜査を目的としており、営業目的の組織ではないため労働者は無料で相談できます。
法律に詳しい職員が対応してくれる
日頃企業の監督に当たっている労基署の職員が相談にあたってくれるため、役に立つアドバイスがもらえます。
企業に指導勧告してもらえる
労基署が労働者からの相談を受けて法律違反があると考えた場合、労基署は企業に対して改善するように指導勧告を行います。 このことで企業が態度を変えて、それまでの誤った取扱いをやめるケースも多々あり、職場全体の環境が良くなる可能性があります。
相談のデメリット
証拠がないと対応してもらえない
労基署は何のきっかけもないのにいきなり捜査を始めたりはしません。労働者が何らかの証拠や資料を持って労働基準法違反があることを示さないと対応してくれません。
相談者の味方になってもらえるとは限らない
労基署はあくまで監督機関で労働者の味方という位置づけではありません。労働者が深刻なトラブルに遭って相談をしても労働基準法違反でなければ相手にしてもらえませんし、証拠も根拠もなければ対応してくれません。
悪質な事案が優先になる
労基署は警察と同様、刑事的な取り締りをするための機関です。人員を含め対応力に限度があるので、どうしても悪質な事案が優先されてしまいます。残業代不払いなどの労働基準法違反があっても、程度が軽ければ後回しにされてすぐには対応しないことがあります。
相談する前に資料を用意すること
労働基準監督署に動いてもらうには、会社の違反を証明する必要があります。たとえば残業代や給与不払いなら給与明細書やタイムカード、日報や就業規則、雇用契約書などの資料、労災隠しであれば労災が起こったときの状況を示す資料や診断書などが必要です。
他にも会社とのやり取りを示す資料、会社の資料、時系列をまとめたメモ等が必要となります。
労働基準監督署の相談方法
労働基準監督署で相談する方法は、窓口と電話とメールの3通りがあり、窓口の場合、全国の労基署によって多少の差はありますが、基本的に平日の午前9時~午後5時頃が受付時間となっています。 電話相談としては労働条件相談ほっとラインが用意されていて、平日の夜間午後5時~午後10時、土日の午前10時から午後5時に相談を受け付けています。メール相談の場合、24時間利用可能となっています。
まとめ
労働基準監督署は、悪質なケースではしっかり対応してくれる一方パワハラやセクハラ、いじめ問題や不当解雇など労基署が動けないケーもあります、その場合は総合労働相談センターへ相談することをおすすめします。