コンプライアンス違反の事例
目次
求められる法令遵守と社会的規範
コンプライアンス違反は、法令違反だけにとどまらず、社内ルール違反、企業モラル違反の意味にまで拡大しています。 法令に違反していなくとも、何らかのルール、社会倫理に反していることが、企業外に漏洩すると、直ちに、コンプライアンス違反のニュースとして報道されてしまい、社会的批判を受けます。
こうなると、消費者や取引先からの信用失墜の危険があり、築いてきた企業価値が失われ、業績悪化にとどまらず、事業継続そのものが困難となるケースも多発しています。
まさに、現在では、コンプライアンス保持は、企業のリスク回避の問題として、経営の最重要課題のひとつとなっているといえます。
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コンプライアンス違反の事例
粉飾決済などの不正会計の事例
2017年3月、格安ツアーを販売する旅行会社である株式会社てるみくらぶが、東京地裁に破産申立を行いました。
2016年9月時点で、約75億円の債務超過に陥っていたにもかかわらず、これを隠蔽して、破産申立の直前まで営業を続けました。
この結果、同社を通じて宿泊代などの旅行費用を支払い済みであったにもかかわらず、渡航先の海外ホテルで代金を請求される、帰りの飛行機が手配されないなど、数万人もの旅行者に被害が生じました。
本件では、ツアー料金を支払い済みであったのに、現地で費用を請求されたり顧客らから、代表者個人に対する損害賠償請求がなされる可能性もあります。 被害者は約9万人、被害総額99億円にものぼります
個人情報の流出の事例
2014年、通信教育、出版事業の株式会社ベネッセコーポレーションの3500万件にのぼる膨大な顧客情報が不正に持ち出されていたことが発覚しました。 同社がシステムの保守を委託していた会社の派遣従業員が、データーを持ち出し、売却していたものでした。
ベネッセは、被害者でもありましたが、長年積み上げてきた信頼が一気に崩れ、消費者などからの信頼を失う結果となりました。
偽装事件の事例
2007年、高級料亭船場吉兆が、賞味期限切れ食品を販売していたことが発覚しました。
当初パート女性の独断と責任をパートに押し付けていましたが、パート女性の告発により会社主導のもとで行われたことが発覚し印象を悪化させました。
これを発端として、産地を偽装して販売したり、食べ残しを使い回していたことが、次々と発覚し、暖簾分けした店舗からも見放され、廃業を余儀なくされました。
労働環境の事例
2017年9月、電通が、2015年10月から12月の間、従業員4人に対し、労使間協定(36協定)で定めた1カ月の残業時間の上限を最大で約19時間超えて働かせ、違法残業をさせたとして労働基準法違反で、東京簡裁に起訴されました。
この事件では、2015年、新入社員の女性が過労死自殺して裁判になっており、また2014年度には、毎月1400人前後にものぼる従業員が、労使間協定の上限を超える違法残業をしたと指摘されました。
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コンプライアンス違反から生じるリスク
トラブルの大小に関わらず、コンプライアンス違反が発生した際に、企業が受けるダメージも年々大きくなっています。違反によって、長年積み上げてきた信頼が一気に崩れ、消費者・取引先・株主などからの信頼を失います。
行政によって摘発や処分を受けたり、コンプライアンス違反が原因で倒産する企業や事業縮小に追い込まれるケースもあります。
社内ルールの策定と浸透
コンプライアンスは、公平公正に企業運営を行うだけでなく、社会の信頼と期待に応えるためのものでもあります。新入社員はもちろん、全社員にコンプライアンス研修を徹底し、日々取り組むことが大切です。
社内教育・体制を整え、日頃から従業員が意識的にコンプライアンス違反を許さない企業風土を構築していく事が重要とも言えます。
まとめ
企業は利益追求するだけの存在ではなく、社会の重要な構成員としての社会的責任を果たすことが求められています。
企業によって社風や文化は異なりますから、コンプライアンスの取り組みに関しては準備が必要です。もちろん、社員の意識変革も重要なポイントです。 しっかりとした全員が意識し、推進していくことが必要です。