地方とリモートワーク
地方とリモートワーク
リモートワークの利用で住む地域の選択肢が広がり、仕事と田舎住まいの両立が可能になってきており、中には地方創生に利用する自治体も出てきております。
リモートワークでの地方創生
都会から仕事をもらい、地域にお金を流す
会社は都市部に集中している傾向があるため、地方でリモートワークを行うことによって、都市部から移住先へお金も流れます。つまり、リモートワーカーの移住が増えれば、地方の活性化にもつながります。
過疎化・少子高齢化の歯止めにも
若者が流出して過疎化・高齢化が急速に進んでいる地域では、手厚い支援制度や奨励金を通じて積極的に移住を働きかけている自治体も多くみられます。現役世代のリモートワーカーと家族の移住を通じて、その地域の過疎化や少子高齢化への歯止めにも役に立つ可能性があるのです。
地方でのリモートワークのメリット
地方にいても都心にある会社の勤務状態で働ける
リモートワークは、地方にいながら都心の会社の条件で働くことができるという点で、非常に優れた仕組みといえるでしょう。都市部の会社とのやり取りになるため、給料や仕事内容は都心と同じで、今までの経験とスキルを活かした仕事を続けることができます。
給料は都市部並み、そして生活費を抑えることができるため、貯蓄をするにも有利です。
地方のデメリット
生活での利便性
住む地域によってはコンビニやスーパーがなかなか見つからないなど、近所で買い物ができるとは限らず、遠くまで行かなくてはならないこともあります。車移動が必須となることも多く、移動時間や車の維持費を想定しておく必要があるでしょう。
また、その地域の言葉や習慣の違いに慣れるまでに時間を要するかもしれません。
補助金の活用
地方のIT企業の活性化、地方在住のエンジニアなどを支援する制度として補助金制度も存在します。地方に在住しながらもリモートワークを用いて業務を行い、またその逆を支援することにより、地方から都心への流失を防ぐと同時に地方の活性化を目的としています。補助を受けられれば、導入のハードルが大きく下がります。
ふるさとテレワーク推進事業
ふるさとテレワークとは地方のサテライトオフィス等においてリモートワークにより都市部の仕事を行う働き方のことです。
ふるさとテレワークの推進により、都市部から地方への人や仕事の流れを創出し、地方創生の実現に貢献するとともに、地方における時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方を促進し、働き方改革の実現にも貢献します。
事業に直接必要な備品費や消耗品費、外注費などが対象となっています。対象となるものは年度ごとに変わるため、応募する際は十分な確認が必要です。
まとめ
リモートワークによって選択肢が広がり、地方でも都心にある会社の条件下で働けるようになりました。さらに場所にとらわれずに働けるリモートワークは、地方の活性化においても大きな可能性を秘めています。
またリモートワークを実現するうえで、クラウド化も大きなポイントです。企業がクラウド化を進めることでリモートワークも普及し、より多くの人々に場所にとらわれない働き方を提供できます。
働き方改革と副業の実例
働き方改革と副業の実例
働き方改革と副業の実例
これまでは副業・兼業をすることで、情報漏洩のリスクや疲労・睡眠不足等で本業がおろそかになる、競業・利益相反になるとして禁止している企業がほとんどでした。 しかし、働き方改革法のなかで副業・兼業が推進され、これからの企業は副業・兼業への考え方を改めていく必要があります。
副業を解禁した企業事例
サイボウズ株式会社
2012年から副業は自立の一歩につながり、事業主としての考え方を勉強できるとして代表が推進しているとして開始しました。副業の条件などは、会社の資産を毀損することは行わないなど、基本的な禁止事項は設けているものの、基本的には自己責任でほとんどの副業が可能となっております。 業務や会社資産と無関係であれば、上司への報告・承認の義務はありません。
ロート製薬株式会社
2016年から勤続3年以上でかつ、国内勤務の正社員であることを条件に開始しました。希望している副業の内容は、上司ではなく直接人事部に申告し、人事部の面談を経てOKが出れば始めることができます。競合他社のメリットになるような仕事でない限り、厳密な審査はしないとのことです。
コニカミノルタ株式会社
2016年から実施内容:会社名、勤務日数/時間、業務詳細内容、雇用形態等、取り組もうと思った動機、副業を通して、会社にどのような貢献ができるかを人事部長宛てに申請し、特に、会社への貢献度やその内容を重視し、イノベーションの起点になり得るかどうかを条件に開始しました。 副業を通しイノベーションを創出することによって会社にメリットをもたらす事を期待されています。
副業を許可した従業員の管理と把握
また、企業側は、従業員が副業・兼業をする場合、以下の理由により就業時間の把握と健康管理もしなければなりません。
就業時間の把握について
労働基準法第38条では、労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算すると規定されています。
つまり、労働基準法で定められた労働時間に関する規定では、副業・兼業先で就業している時間と本業での就業時間を合算しなければなりません。
そのため、従業員から申告により、副業・兼業先での就業時間を把握する必要があります。
健康管理について
副業・兼業を行う従業員の長時間労働による健康阻害を防止する観点から、自社と副業・兼業先の企業で時間外労働(残業)や休日労働の抑制・免除する等の配慮が必要になります。
さらに、従業員の健康状況を把握するために、定期健康診断のほかに産業医との面談もすべきです。
まとめ
副業は企業側にとって、優秀な人材の確保や従業員のスキルアップ、仕事の質の向上や従業員のモチベーションアップ等のメリットがあります。 しかし、副業を認めていくにあたって、企業側が対応していかなければならないことは多々あります。企業と従業員がお互いにwin-winな関係になれるよう制度の整備が重要となります。
副業のデメリット
副業のデメリット
副業のデメリット
国内企業における副業解禁の流れが加速している昨今。副業は、働き方改革実行計画策定以降、政府もガイドラインを策定して推進していることから、注目を集めています 。
解禁している企業は少ない
実態としては、まだまだ副業を解禁している企業は少ないようです。雇用動向に関する企業の意識調査によると、従業員の副業・兼業を認めていると回答した企業は、1万82社のうち1,047社で、わずか1割にとどまっています。
メリットよりもデメリットのほうが気がかりで、副業解禁に踏み切れないのが現状なのかもしれません。
企業が懸念するデメリット
職務専念義務に関するリスク
副業を本業の仕事が終わった後や休日に行う人が多いため、十分に休めないことで本業に支障をきたすケースや本業が疎かになるケースです。可能性としては十分に考えられます。
離職を促す可能性
優秀な人材が、本業を離れて副業の方へ転職してしまう可能性がゼロとはいいきれません。
機密情報の流出リスク
副業を解禁するにあたって、情報漏洩について不安視する声は多いようです。秘密保持義務を確保するためにも、会社の機密情報の取り扱いについて、改めて社員と確認する必要があります。
労働者側のデメリット
ワークライフバランスを保つのが困難
長時間労働となり、時間や体調の管理がより難しくなることが考えられます。過重労働となり、体調を崩した人も結構います。
雇用保険等の適用対象外となる可能性
1週間の所定労働時間が短い業務を複数行う場合は、雇用保険が適用されないことがあります。
副業に当てはまる仕事例
副業とは、各機関により様々な定義がなされており、副業・兼業・複業などと呼ばれることもありますが、いずれも一般には、収入を得るため本業の勤務時間外に携わる本業以外の仕事を指すと考えられています。わかりやすいものとして以下のものがあります。
- 他社でのアルバイト
- 資格を活かした単発の仕事
- フリマアプリなどを用いた商品販売
- ライター
- 賃貸経営
このうち、フリマアプリの利用などは、所属企業の就業規則との関係で問題となる可能性は低いですが、所得税など、課税の対象となる可能性がある点に注意が必要です。
副業トラブル対策
副業解禁は近年の流れであり、トラブル対策がまだ十分とはいえません。日本法規情報の調査では、副業に関するトラブルに巻き込まれた際、半数が「誰にも相談していない」と回答していることが明らかになっています。
労働者側のトラブルは、副業を利用した詐欺被害や確定申告漏れといった、いわゆる自己責任によるものが多いようですが、ここでは企業側ができるトラブル対策について考えていきましょう。
労働時間の管理体制をつくる
デメリットからもわかるように、労働者側と企業側双方の問題として著しいのが、健康管理のトラブルです。
厚生労働省は、副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方に関する検討会において、労働者の健康確保などに配慮しながら、どのように実効性のある労働時間管理を行うか等の課題について検討を重ねています。
2019年7月9日には、副業・兼業をする人の労働時間について、従業員の健康確保を前提として、月100時間未満を上限とする残業規制を柔軟に適用する方針が厚労省から示されました。ただ、これはあくまで選択肢の例示にすぎないとのこと。企業側も、社員の副業状況をきちんと把握する体制をつくるなど、過重労働防止のための具体的措置について考える必要があります。
評価方法の見直し
副業を許可した際に、社員が明らかな就業規則違反をした場合、たとえば会社への報告を失念していたり、会社が許可している範囲を超えて副業をしていたりするケースは処分の対象となるでしょう。しかし、副業トラブルとして多く聞かれる本業に支障をきたしているというケースについては、安易な判断は避けたいものです。営業職や販売職の場合は売り上げ成績などで成果が見えやすいですが、それ以外の職種の評価方法は見直しを行い、誤った評価を下すことは避けましょう。
まとめ
副業に関してはようやく最近になり認められるようになりましたが、規則の整備などはまだまだ進んでおらず、解禁企業もまだ少数に留まっております。考えられるデメリットや今後の課題を洗い出ししっかり対応する事が重要かと思われます。
高齢者採用の現状
高齢者採用の現状
高齢者採用の現状
定年延長などの議論から高齢者採用などの話題が上がることがよくありますが、現状はどうなっているのでしょうか。
高年齢者雇用のメリットとデメリット
高齢者を採用することによるメリットとデメリットについて見てみます。高齢者の場合経験が豊富だったりする場合がある一方、体力面などに問題を抱えている事が多いですがそれ以外の面ではどうなのでしょうか
メリット
経験・スキル・ノウハウ・人脈が活用できる
高年齢者は今まで働いて来た経験やスキルに基づくノウハウを持っており、同業種からの雇用や継続雇用をする場合、そのノウハウを活用することが可能です。 当然、長い期間働いてきた会社での培った人脈も利用することができれば、ビジネスが発展し、良い循環をもたらす可能性があります。
若手社員の手本になる
高年齢者の多くは体力的には若手に劣るものの、働く意欲が高い人が多いです。その高年齢者が意欲的に働く姿を見る従業員はモチベーションが向上し、社内が活性化すると言われています。
さらに、礼儀正しく勤務態度が良好な方の場合、他の従業員の手本となります。
国からの支援・補助・優遇措置が受けられる
企業は高年齢者雇用のための環境整備や雇用することで、「65歳超雇用推進助成金」など、国や行政から助成金や補助金が支給されます。
デメリット
若手の活躍できる機会が減ってしまう
高年齢者を雇用する場合、若手の成長が遅れてしまう可能性や活躍できる機会が減る事が考えられます。
例えば、若手が自分で考え試行錯誤し、成長の糧となる失敗をしようとしても、年長者の一声により失敗することができず、何が改善されたのか把握することができない可能性があります。今までの役職を引きずらないポジションを用意するなどして、全従業員が育つ環境を作ることが重要です。
組織や部署のマネジメント機能の低下
上記と同じようなことが言えますが、継続での再雇用制度を利用した場合、部下だった者が上司になることも十分に考えられます。
過去に部長だった人が再雇用制度により一般社員として再度雇用され、もともと部下だった人の下で働くとなると、お互いに様々な考え方や背景・方針があるため、言うことを聞かないこともあるかと思います。これでは仕事がやりづらく、組織としてのマネジメント機能が低下する恐れがあります。
再就職が難しい高齢者の現状
とはいえ働きたいと考えていても、実際には働く場を与えられない高齢者は少なくありません。 働く意欲はあるのに働いていないと回答した高齢者は20.8%、そのうえで、調査では応募しても採用されなかった理由を調査したところ、人事責任者が高齢者雇用に消極的だったが最も多く、職場全体に高齢者雇用に消極的な雰囲気があった、自分の専門的な能力・スキルが評価されなかったと続きます。 年齢や専門性のミスマッチを指摘する声もありますが、求人では年齢制限なしとしながらも、実態は高齢という理由だけで、面接さえ受けられなかったという事が多くあります。
同一労働でも賃金は大幅削減
また、定年後の雇用の際には、定年前と同様の仕事を継続するケースが多いにもかかわらず、賃金は大幅に削減されるケースが多く、これは政府が推進している“同一労働同一賃金”に明らかに反しているものとなっています。
まとめ
高齢者の再雇用にはまだ問題点が多く、現実問題採用があまり進んでおりません。定年延長の議論もある中早急に解決する必要があります
国会議員の育休
国会議員の育休
国会議員の育休
小泉環境大臣が、初めて環境大臣という要職に就く議員が育休を取得したことで大きな話題となっていますが、そもそも国会議員などの育休制度とはどのようなものなのでしょうか
国会議員の育休取得
国会議員に育休の規定はありませんが、産休については、衆議院、参議院ともに規則で定められています。
- 衆議院規則:第185条2:議員が出産のため議院に出席できないときは、日数を定めて、あらかじめ議長に欠席届を提出することができる。
- 参議院規則:第187条:公務、疾病、出産その他一時的な事故によつて議院に出席することができないときは、その理由を記した欠席届書を議長に提出しなければならない。
もともと、両院には産休に関する規則はありませんでしたが、参議院では2000年になって改正されました。きっかけとなったのは、出産前日まで議員活動をしていた自民党の橋本聖子参議院議員が、参院議長に出産による本会議欠席届を提出し、受理されたことでした。これを機に参院規則が改正され、産休が認められることになりました。
国会議員の育休に対する批判
小泉大臣の育休取得には肯定的な意見がある一方、政治家の仕事は育児休暇を取ることではなく、国民が安心して育児休暇を取得できるための法を整えることではないのかという批判が相当数あります。
政治家が育児のために仕事を休むことを否定するわけではありませんが、政治家自身が育児休暇を声高に宣言することで民間の育休取得に直接つながるわけではありません。実際問題やって欲しいのはパフォーマンスではなく、子育て世代が育児休暇の間ぐらい、休んでも経済的に不安がないよう、法や制度を整えることです。
これまで産休を取得した国会議員
産休としての事例は国会議員として憲政史上初めての産休取得は、1949年の園田天光光氏です。これまでの間に9人が産休を取得しています。
- 2000年6月 橋本聖子参院議員(比例区、自民党、当選4回)
- 2003年11月 有村治子参院議員(比例区、自民党、当選3回)
- 2007年12月 小渕優子衆院議員(群馬5区、自民党、当選7回)
- 2011年1月 野田聖子衆院議員(岐阜1区、自民党、当選9回)
- 2014年10月 吉川ゆうみ参院議員(三重選挙区、自民党、当選2回)
- 2019年10月 鈴木貴子衆院議員(比例北海道、自民党、当選3回)
衆参両院の規則改正以降、衆参両院それぞれの議員が産休を取得していることが分かります。
地方議員の育休
全国の男性地方議員で、2019年までの15年間に妻が出産した627人のうち、出産に伴う休みを取得した人は23人と、約4%にとどまっている事が豊島区の永野裕子区議の調査で判明しております。地方議員の場合国会議員と比べ拘束時間が短いという事情もありますが、地方の無理解なども要因として考えられます。
まとめ
小泉進次郎環境大臣の育休取得により、男性の「育休」についての議論や実際の取得の動きが進んでいくのかもしれません。永田町での育休だけでなく、社会全体の今後の動きに引き続き注視しましょう。
公務員の副業解禁
公務員の副業解禁
公務員の副業解禁
働き方改革において民間企業では副業解禁の動きがありますが、公務員はどのような動きがあるでしょうか
現時点では公務員の副業は完全に解禁されていない
働き方改革によって、政府は副業・兼業を普及させようとしていますが、公務員の副業については副収入を得ることを目的としたものは原則として禁止されています。
まず、国家公務員については、国家公務員法によって原則として禁止されており、職員の所轄長などの許可を得れば不可能ではありませんが、実質的には難しい状況です。
地方公務員についても地方公務員法において同様の制限があります。
しかし、地方公務員、国家公務員のそれぞれに副業解禁に向けた動きはあります。
地方公務員
他の自治体に先駆けて、2017年4月には、兵庫県の神戸市が、NPO法人など公益性の高い地域貢献活動に限り副業を認めており、2017年8月には、奈良県の生駒市が、公共性のある組織での副業を認めています。公益性や地域貢献などが前提として、副業解禁の流れを見せ始めていると言えます。
国家公務員
政府は2018年6月に未来投資戦略2018というものを閣議決定しています。 その中では、多様で柔軟なワークスタイルの促進として、国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進めるとされており、地方公務員の動きと同様に、国家公務員についても公益的活動などを目的とした兼業を認める方向で動いています。
公益的活動等の定義
この公益的な活動とは、具体的にどういった活動を指すのでしょうか。
厚生労働省が示している地域における公益的な取組についての規定があります。
これによると、地域における公益的な取組は次の3つの条件が必要です。
- 社会福祉事業又は公益事業を行うに当たって提供される「福祉サービス」であること
- 日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者」に対する福祉サービスであること
- 無料又は低額な料金で提供されること
これは、平成28年改正社会福祉法において、社会福祉法人の本来の役割を明確にすることを目的に示されている規定ですので、国家公務員の副業制限容認における、公益的な活動にそのまま当てはまるわけではありませんが、この規定やそもそも国家公務員の副業制限が緩和されるに至った背景などを踏まえると、公益的活動等は、営利を目的とした民間企業や自営での副業・兼業ではなく、NPOやNGOなどの公益的な活動を行う団体での活動に限定されることになると思われます。
まとめ
国家公務員と地方公務員それぞれの副業解禁の動きで共通しているのは、公益的な活動に限定して、副業が容認され始めているということです。
公務員にも色々な方がいて、中には生活の安定を求めて公務員になったという方もいます。
しかし国民や市民の役に立ちたいという思いで、公務員として働いている方が大多数かと思われます。
そういった方にとっては、公務員としての仕事以外にも、人々の役に立つような活動することで、報酬が得られたり、スキルや人脈を培えることで地域社会に貢献し、互いのメリットとなるのではないでしょうか
働き方改革と副業
働き方改革と副業
働き方改革と副業
働き方改革実行計画の中で労働者の健康確保に留意しつつ、 原則副業・兼業を認める方向で、副業・ 兼業を普及促進との方針が出されました。副業解禁はいつからで、どんな企業が取り組みを行なっているのでしょう。
働き方改革の中の副業
基本的に副業は解禁を奨励
政府は働き方改革についての具体的な内容を働き方改革実行計画として定め、この中で副業については、第5章の柔軟な働き方がしやすい環境整備の部分ではっきりと記述されています。
テレワークは時間や空間の制約にとらわれることなく働くことができるため、子育て、介護と仕事の両立の手段となり、多様な人材の能力発揮が可能となる。副業や兼業は新たな技術の開発、オープンイノベーションや起業の手段、第2の人生の準備として有効となっており、副業に対し非常に高い評価をしていることが分かります。
ただし、この文には続きがあります。そこでは、他方、これらの普及が長時間労働を招いては本末転倒。労働時間管理をどうしていくかも整理することが必要。ガイドラインの制定など実効性のある政策手段を講じて、普及を加速とあり、本業と副業を合計した場合の懸念についても盛り込まれています。
政府は副業によるリスクも把握しつつも原則として解禁を奨励しており、副業の効果に対して非常に期待を寄せていることがわかります。
従来の多くの企業は否定的な見方
なぜ、企業は副業を禁じるのでしょうか。大きく2つの理由が考えられます。1つは競合他社で副業することによる情報流出を防ぐためです。経験があるということで競合他社に勤務する可能性はゼロとは言えません。
もう1つは本業に支障が出ることを恐れるためです
なお、前述の働き方改革実行計画ではこれまでの裁判例や学説の議論を参考に、就業規則等において本業への労務提供や事業運営、会社の信用・評価に支障が生じる場合等以外は合理的な理由なく副業・兼業を制限できないことをルールとして明確化とのガイドラインが示されています。原則としては副業解禁ですが、本業への支障がある場合は例外とするという意味です。
好意的な見方をする企業
本業にも良い影響が出るとの見方がある
上記のように情報漏えいや本業への支障、長時間労働などのデメリットへの対策が必要なのに、それでも副業を解禁するメリットはどこにあるのでしょうか。仕事に直結する点として、副業を通してスキルアップすることができます。これは働き方改革のポイントの1つである、労働生産性の向上に寄与します。
本業に関係のある副業であれば効果はもちろん期待できますが、全く関係のない業種でも本業と結び付けられる可能性がありますので、必ずしも本業と関係なくも企業にとってプラスになる可能性は十分にあります。
労働者本人への影響
労働者本人としては自分の進む道を自ら選んでいるわけですから、満足度も高いはずです。もし副業の解禁によりストレスをため込まないようになり、メンタルヘルスに役立つなら、休職や離職を未然に防ぐ効果も期待できるかもしれません。
働き方改革実行計画には副業・兼業を希望する方は、近年増加している一方で、これを認める企業は少ない。労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業を普及促進との文言があります。
副業の解禁による、働き方改革の効果
多様な働き方のできる社会に繋がる
副業を認めるということは、会社にとっても慎重な判断が求められるところです。ということは副業が許される会社というのは、おそらく全体的に柔軟な働き方を認めている職場になっているはずではないでしょうか。
そのような会社が増えれば、より多くの人が労働市場に参入できるようになるでしょう。時間も場所も多様な労働が可能になれば、ワークライフバランスもとりやすくなります。また、いろんな事情を抱えた人々が可能な範囲で労働し、家庭での責任を果たし、生活の質の向上を目指せるようになることが期待されます。これは働き方改革のもう一つのポイント、労働力人口の増加につながることでしょう。
パラレルキャリアの構築
副業に関する語句として押さえておきたいものにパラレルキャリアというものがあります。これはあのピーター・ドラッカーが提唱した概念で、本業を持ちながら第二のキャリアを築くことを意味します。
これを構築するためには、何らかの形で本業に結び付けることを意識した社外活動を選ぶ必要があります。もちろん、すべての副業がパラレルキャリアにつながるわけではありませんが、本業に結びつくような副業をあえて選択することでスキルアップできれば、一層生産性の高い労働者になることができます。これは働き方改革の目的に合致するものです。
まとめ
副業を単なる収入アップの手段の他に、知識を深め、スキルを磨くチャンスでもあります。そのためには、本業と相性のいい副業というものを探す必要があります。 ただ、働き方改革実行計画で副業・兼業を希望する方は、近年増加している一方で、これを認める企業は少ない。労働者の健康確保に留意しつつ、原則副業・兼業を認める方向で、副業・兼業を普及促進と定められているように、全国的な副業解禁の流れが止まることはなさそうです。
男性育休取得の課題
男性育休取得の課題
男性育休取得の課題
小泉環境大臣が、初めて環境大臣という要職に就く議員が育休を取得したことで大きな話題となっていますが、男性の育休取得率はいまだ少数に留まっております。
男性従業員の育児休業の取得率
企業に勤める男性従業員には、育児休業を取得する権利があります。しかし、実際にはあまり取得できておらず、厚生労働省の平成30年度雇用均等基本調査によると、育児休業を取得している割合は、女性が82.2%なのに対して男性は6.16%となっております。
しかし、男性の育児休業取得率は少しずつですが上昇しています。そして企業によっては、男性の育児休業の取得率が大幅に改善しているところもあり、男性の育児休業を促進する活動も少しずつ進められています。
育休が取りづらい原因
職場に迷惑をかける
職場で自分が抜けると他のメンバーに迷惑がかかるため、育休が取りづらいことがあります。抱えている仕事が大きく、責任感のある仕事であればあるほど言い出しにくい風潮があります。
仕事に復帰できるか不安
たとえ育休を取得できたとしても、休み明けに現場に復帰できるのか不安になる人も多いです。
自分が抜けている間は、別のメンバーが業務を担当していたり、新しく人員補充をする可能性があります。そのため自分が仕事復帰したときに、職場に居場所があるのかと心配になるようです。
また、今後の昇進に響くのではないかという懸念もあります。
本来、育休を取得したからといって、企業からの評価が変わるものではありません。しかし、無理やり育休を取ることでチームワークを乱すようなことがあると、評価に関係することがあります。
収入が減少する
育休を取得すると、収入が減少することに不安を感じて、なかなか踏み出せないケースもあります。
子どもが生まれる前から、貯金をしていたり生活費を見直したりと事前にしっかりとした計画を立てていれば、育休による収入面の不安も減ります。
また、育児休業中には育児休業給付金を受給することができます。
男性に育休を取得してもらうメリット
男性に育休を取得してもらうことで、企業のイメージアップにつながります。育休を取得している男性の割合は少なく、そんな中、男性も育休が取れる企業は世間的にも好感がもてますし、社内で働いている従業員にも育休を取得できることが分かれば今後の不安を軽減させることが可能です。
男性が育休を取得しやすくするためには
男性が育休を取得しやすくするためには、企業側からアプローチをかける必要があります。 まずは男性の育休取得について社内で周知する機会を設けましょう。育休という名前自体は知っている従業員が多くても、その実態について理解している従業員は少ないです。 育休を取得しようと思っていても、給料の減少や職場の人間関係などを気にして、なかなか取得に踏み切れない男性もいるでしょう。 そういった男性従業員のために、育休の取得から職場に復帰する流れについて説明する場を設けます。また育休時の給料、または給付金や復帰後の待遇など、特に不安に思っている部分の説明も重要です。
復帰した男性従業員への対応
復帰前と復帰後では、社内の環境の変化や本人のブランクにより状況が変わっており、育休から復帰した男性従業員と企業側の意識のずれに気を付ける必要があります。 例えば、復帰した男性従業員が以前と同じような業務を求めているにも関わらず、企業側がブランクを考慮してあまり仕事を与えないといった意識のずれです。しかし、企業側からすると以前のように働けるか不安な部分もあり、以前とは状況が違えば仕事を振りにくい場合もあるでしょう。 逆に、復帰後も育児などで残業が難しい男性従業員に対して、企業側は時間外労働も含めて以前のように働いて欲しいと思っているケースも見受けられますが、育休明けの従業員には無理なく育児と仕事を両立するための権利があるため、無理をいって時間外労働をさせないように注意しましょう。
助成金制度
育児休業の取得率アップのため、厚生労働省は企業に対してさまざまな助成金制度を用意しています。
両立支援等助成金(出生時両立支援コース)
男性労働者が連続した育児休業を中小企業なら5日以上、中小企業以外は14日以上取得した際に受け取ることができる助成金です。また、子どもの出生後8週間以内に育児休業を開始する必要があります。 1人目の支給額は、中小企業が57万円、中小企業以外が28.5万円です。2人目以降は、休業取得日数に応じて支給額が変わります。
まとめ
子どもが生まれてまもない時期はもちろん、第一子誕生では手探り状態、第二子以降も第一子たちのケアと新生児のお世話で並行して行うため育休とはいえ休んではいられないのが母親です。さらには保活に復職準備と、育休中の母親の負担は心身ともに大変重いものです。
男性が育児休暇を取得すると出世の道が絶たれる、社内で上層部から嫌がらせを受ける、そもそも育休を取りたいなどと言い出せる雰囲気ではない…。企業によってはさまざまな困難が待ち受けているのも事実ですが、そのような風潮は改めなくてはなりません。
働き方改革と育休
働き方改革と育休
働き方改革と育休
小泉環境大臣が、初めて環境大臣という要職に就く議員が育休を取得したことで大きな話題となっていますが、育休とはそもそもどのような制度なのか、なぜ取得が進まないかを解説します。
育休とは
育休とは育児休暇や育児休業のことを指し、子を養育する労働者が法律や就業規則に基づいて取得できる制度になります。
育児休暇と育児休業の違い
育児休暇と育児休業を区別せずに使っている方も多いと思いますが、この2つには、法律で定められているかいないかという違いがあります。育児休業
育児休業とは、育児・介護休業法によって定められた休業制度のことです。法律で定められているので、1歳未満の子どもを育てているなど、条件を満たすことで取得でき、働く人が持つ権利の一つともいえます。条件を満たせば、正社員だけでなく、雇用期間が定められている方も取得することができます。
育児休暇
育児休暇とは、育児のために休暇を取得すれば、それだけで育児休暇といえるため、広い意味で使われています。例えば、有給休暇を使用して、数日~1週間ほどの休暇を取得するのも育児休暇といえます。規定によって、子どもが3歳になるまで休暇が取得できる会社もあります。
男性の育休
厚生労働省によると、男性の育児休業取得率は2016年度で3%。少しずつ増加しているとはいえ、女性の育休取得率82%と比べるとまだまだです。多くの人が男性の育児休業取得を進めたいのに、なかなか増えないのが現状です。
原因は職場の理解と生活面
職場の理解が足りないが取得できない主な理由となっており、現に子育ては母親の仕事という風潮はいまだに強いです。一方で、育児休業中の家計が不安、復職後の役職が下がりそう、復職後の給与が下がりそうという現実的な課題もあります。
育児休業中の就労
育児休業は「休業」ですので、原則として仕事をすることはできません。しかし例外として、育児休業中の就労について、労使の話し合いにより、子の養育をする必要のない期間に、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することはできます。と厚生労働省の育児休業中の就労についてのガイドラインに記載されています。また、就労が月10日(10日を超える場合は80時間)以下であれば、育児休業給付金が支給されます。
恒常的・定期的な就労は「復帰」とみなされ、育児休業給付金は支給されませんが、突発的に発生した事態に対応するため、そのつど事業主と合意のうえ、ほかの者では手当てできない臨時の業務を行う場合(テレワークにより行うものも含む)は、月80時間以下であれば給付金が支給されます。
育休中に利用できる制度
社会保険料の免除
育児休業中は、社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が免除されます。事業主経由で育児休業等取得者申出書を年金機構へ提出する必要があるので、休みに入る前に勤務先の担当者に相談しましょう。
所得税と雇用保険料の免除
育休中に受け取る給料が0円であれば、所得税や雇用保険料も自動的に0円になります。育児休業給付金や出産育児一時金などの給付金は、非課税となります。
住民税の減免措置
所得税と違って、住民税は昨年1年間の給料に応じて課税されているため、育休期間中でも支払う必要があるので注意しましょう。育休前の最後の給料や賞与から一括で引かれる場合や、6月頃に自宅に届く住民税支払い通知書に従って自分で支払う場合があります。
また、自治体によっては前年に比べて収入が大きく減った方に対して、住民税の減免措置を行っているところがあります。申請すれば住民税が減額または免除される可能性がありますので、市区町村の減免制度について、確認してみると良いでしょう。
配偶者控除
育休中は、自分の収入が減ったことを正しく申告することで、配偶者の所得税や住民税が安くなることがあります。なぜなら、1月1日から12月31日までの年収が103万円以下の場合は配偶者控除が、年収201万円以下の場合には、配偶者特別控除が利用できるからです。
この控除を受けるためには、配偶者の勤め先で行われる年末調整時に扶養控除に関する申告書を提出するか、確定申告時に自分で申告をする必要があります。このとき正しく申告するためにも、給与明細などの給料が分かる書類はしっかりと保管しておきましょう。
まとめ
子育てと仕事を両立させるためには、周囲の理解が大切です。復帰後に気持ち良く働ける職場、安心して子どもを預けられる保育所の整備などが必要不可欠になってきます。育児休業への理解が深まり、より良い職場環境づくりのできる企業が増えると少子化の歯止めにもつながります。
中小企業の働き方改革の現状
中小企業の働き方改革の現状
中小企業の働き方改革の現状
働き方改革関連法は適用範囲が順次拡大され、中小企業も少しずつ対象となります。それを前にした19年12月16日~20年1月6日に実施した帝国データバンクの働き方改革に対する企業の意識調査によると、働き方改革に取り組んでいる企業は、大企業は75%、中小企業は56%、小規模企業は41%でした。
中小企業は働き方改革に消極的?
中小企業では効果を期待できないなど必要性や効果に、懐疑的である場合が多く、取り組みを行なえていない状況が一定数ある他、業務上行なえないという声もあります。
人手不足や業務多忙で手が回らない
資金力、余剰人員の問題、人材などが異なる大企業と中小企業を同じ法律で縛るのは厳しいのではないか、本来は従業員間で業務量に差が生じないようにすべきだが、取引先との関係や個人の能力を考慮すると難しいなどと業務上の都合から働き方改革を実現できないという声も多くあります。
同一労働同一賃金による人件費高騰
法の主旨に基づき休暇を最大限に設け、労務時間の調査と適正な報酬、主体的な業務管理に向けて研修などを行っていると積極的に働き方改革を行なっている企業もある反面 同一労働同一賃金で人件費は必ず上昇し、赤字になる可能性があるため、人員を削減するしかないという声もあり、対応に難しさを感じているとの意見も多くなっています。
制度を利用しにくい雰囲気がある
また社内で働き方改革で新たな制度を設けたのに、上司が制度の利用に前向きでなかったり、まったく利用しなかったりすると、部下が制度を利用しにくくなってしまう場合があります。このような雰囲気が広がってしまうと、結局は誰も制度を利用できず、働き方改革が浸透しません。
技術的な問題が改善されない
働き方改革の具体的な対策のひとつとして取り上げられることも多い業務のIT化。ところが、導入設備の性能が不十分であったりすると、業務効率の悪化という弊害が生じます。技術的な問題が改善されない限り、IT化を行なっても業務の効率化を測ることができません。
働き方改革に対応する方法
効果が大きそうな項目や法律で定められた罰則の対象となる項目から対応し、実際に自分たちが行うべき改革のターゲットを決めて、実行計画をたてることで働き方改革の実現を行います。
短期間で完了できるような内容ではないため、数年先を見据えたロードマップを策定しておくと全体像が見えて進めやすくなります。
働き方改革は国が進めている施策のため、ガイドラインも設けられているためまずは、ターゲットを決めてガイドラインに従って進めてみるのが良いと思います。
まとめ
働き方改革実現のためには政府の中でもまだまだ検討が必要な項目は多く、実現時間がかかりそうです。しかし、内容によってはまだ先の話だからといって体制や仕組みづくりを後回しにしていたのでは、実際に法整備が進んだ際にスムーズに移行することはできず、また問題の解決に繋がりません。
健康的で安定した働き方を実現するためにも、私たちも今のうちから少しずつ、働き方に対する意識と環境を変えていく必要があります。