生産性向上の事例

生産性向上に向けた補助金・助成金制度

生産性向上に成功する企業の特徴

現場で知恵を出し合い効率化

カイゼンとは、おもに製造業の生産現場で行われている作業の見直し活動のことを指します。作業効率の向上や安全性の確保などに関して、経営陣から指示されるのではなく、現場の作業者が中心となって知恵を出し合い、ボトムアップで問題解決をはかっていく点に特徴があります。トヨタのカイゼンに代表されるように、現場主体の業務効率化としては、製造ラインにおけるものだけではなく、ホワイトカラー的なデスクワークでの効率化も含め、多くの企業で取り組まれています。

分散している業務を本社に集約

石油ファンヒーターを主力商品に製造販売する新潟県のダイニチ工業では、従来、商品を購入したお客様へのアフターサービスを県内外の各営業所で担当していました。しかし、少人数で構成される営業所では事務担当の社員が問い合わせ対応に追われることが多く、結果として残業時間の増加や、休暇も取得しづらい状態となっていました。

そこで、各営業所の業務を新潟本社のコールセンターへ集約。 コールセンターから各営業所にお客様対応を割り振る仕組みへと変更しました。 また、コールセンターで応対可能な問い合わせについては電話で対応を完結することで、各営業所の問い合わせ業務を軽減し、残業時間が大幅に短縮された上、休暇が取得しやすい環境を整えることができました。 この事例では、各地に分散し非効率になっていた業務を中央に集約することにより、効率性が向上し、それまでと同水準のサービスを生産性を維持したままで実現したことが示されています。

会議の効率を上げて労働時間削減

和歌山県で電子基板などを製造する大洋工業。 同社は企業理念に「会社は、いつの日も楽しく健康的に働ける場所でなければならない」という一文を掲げるほど労働環境の改善に熱心な企業で、特に労働時間の削減の取り組みを積極的に進めていました。 生産性を下げずに職場環境をより良くするため、改善の目が向けられたのは、会議の実施方法でした。

一般に会議といえば、とくに議論にかけられる時間も明確にされず、答えも出ないままダラダラと長引くことが多くあります。 そこで、同社では特別な会議を除いて「17時以降の会議開催を禁止」「開催時間は45分まで」を開催ルールとして定めました。さらに、会議は立ったまま実施する「起立会議」とし、少しでも早く終わらせられるような工夫も施しました。 これらの改革を経て、同社では3年間で月の平均所定外労働時間を約10時間削減させることに成功しました。日々の業務のなかには、効率化できる時間が多く存在し、日常業務を改めて洗い出すことで、生産性を落とすことなく効率を高めるきっかけになると考えられます。

作業工程のチェックリスト化

福井県で靴のインターネット販売を行うザカモアでは、受注業務に関する新人教育はOJTによる教育が中心で、新人が業務を習得し一人で作業できるようになるまでには、実に1年近くの期間がかかっていました。 そこで受注工程で行われる業務を抽出し、作業順に並べたチェックリストを作成し、作業内容をマニュアル化しました。 また、受注業務を進めながら手順をチェックする際にマウスとペンを持ち替える手間が増えるため、チェックリストは紙ではなく、全社員に配布したiPadで確認できるようにし、効率よく業務を進められる環境整備に努めました。 マニュアル作成にはある程度の時間を要したものの、約1年かかっていた新人の教育期間は大幅に軽減し、早い場合では1週間で戦力として活躍できるような改善を果たしました。 新人教育はその人材が戦力として独り立ちできるまでに長い期間がかかるだけでなく、教育を実施する先輩社員にも作業的・時間的な負荷がかかり、組織全体で生産性が落ちやすくなるポイントです。 教育方法の効率化も、生産性向上に向けた効果的な方法の一つです。

生産性向上に向けた補助金・助成金制度

生産性向上に向けた補助金・助成金制度

補助金・助成金の活用

生産性向上の為の対策などが行い辛い中小企業や小規模事業者に向けた助成金、補助金制度が各自治体で用意されております。給付要件を満たす必要がありますが、有効的に活用することによって円滑に生産性向上に向けた対策を行うことが出来ます。補助金・助成金の申し込みには期限がある為確認が必要です。

生産性向上特別措置法とは

政府は、2020年度までの3年間を集中投資期間と位置づけ、中小企業の生産革命を実現するため、市町村の認定を受けた中小企業の設備投資を支援します。 大まかな内容としては、生産性向上に関する計画を市町村に提出し、認定を受けることができた場合、新たに取得した設備に対する固定資産税が最大3年間ゼロ等になります。
要件として計画認定から3~5年間の計画期間において、直近の事業年度末に比べて労働生産性が3パーセント以上向上すること、国の策定した「導入促進指針」及び各市町村が策定した「導入促進基本計画」に適合するものであること。先端設備等の導入が円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。認定経営革新等新機関(商工会等)において事前確認を行った計画であること。であることが条件となっております。

業務改善助成金とは?

業務改善助成金は、中小企業・小規模事業者の生産性向上を支援し、事業場内で最も低い賃金の引上げを図るための制度です。 生産性向上のための設備投資やサービスの利用などを行い、事業場内最低賃金を一定額以上引き上げた場合、その設備投資などにかかった費用の一部を助成します。

支給対象者

事業場内最低賃金が 1,000 円未満の中小企業・小規模事業者。 過去に業務改善助成金を受給したことのある企業であっても、助成対象となります。

給付要件

事業場内最低賃金を一定額以上引き上げる、生産性向上のための設備投資などの事業実施計画を策定すること 引上げ後の賃金額を支払うこと、生産性向上に資する機器・設備などを導入することにより業務改善を行い、その費用を支払うことが要件となっております。

補助金

本制度に基づき固定資産税の特別措置を実施した自治体において、以下の補助金が優先採択(優遇内容は各自治体で異なり、その詳細は公表されていませんが、補助金の審査は加点方式で行われており、本計画の認定が加点対象となるようです。)

ものづくり・サービス補助金(ものづくり・産業・サービス経営力向上支援事業)

中小企業が生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセス改善を行う際の設備投資に対し、最大3000万円支援する。

持続化補助金(小規模事業者持続化補助金)

小規模事業者が、商工会・商工会議所と経営計画を作成し、販路開拓等を行う際、最大500万円支援する。

サポイン補助金(戦略的基盤技術高度化支援事業)

中小企業が大学・公設試等と連携して行う研究開発、試作品開発及び販路開拓を行う際、2~3年度の間に最大9750万円を支援する。

IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)

中小企業等の生産性向上のため、業務効率化や売上向上に資する簡易的なITツール(ソフトウェア、アプリ、クラウドサービス等)の導入する際に、最大50万円を支援する。

IT関連の助成金・補助金制度に関しては、ソフトウェア購入の際などの些細な対策でも適用出来ます。またこの制度を使用し社内をシステム化するという事例も多くあります。補助金を用いてより低コストに生産性向上の対策が行えます。

生産性向上のポイント

生産性向上のポイント

生産性向上とは具体的にどうするか

生産性向上とは、組織が保有する経営資源を最大限に有効活用し、より小さな投資でより大きな成果を生み出すための取り組みを指す言葉です。 働き方改革の推進など、日本では政府主導による国全体を対象とした大規模な生産性向上施策が進められています。
しかし具体的に生産性向上に関する対策をどう行うかなどの疑問点が多くあります。具体例として下記のようなことがあります。

組織の中で生産性を高める

目標を設定する

ただ、生産性向上をしようと思っても、何をしたらいいのか分からず、結局生産性向上できずに終わってしまいます。 例えば、「成果をあげたい」「投入リソースを減らしたい」など、生産性向上の目的が明確になると、そのために何をすればいいのかが分かりやすくなります。

問題点を洗い出す

生産性向上の目標が明確になったら、それを達成するには、どの業務を改善すればいいのかが分かりますので、その業務の問題点を洗い出し、業務内容を見直したり、やり方を変えたりする必要があります。

タイムマネジメント

時間管理をより厳密に行うことで業務時間内の無駄な時間を削減することができれば、重要度の高いタスクや遅延しているタスクに時間を回すことができ、完了期日遅延のリスクを減らすことが出来ます。

優先順位を設定する

業務を削減できなくても、重要度や優先順位、段取りを決めることで業務効率が向上します。例えば、会議における話の方向性をまとめておくだけでも、会議の時間が短縮されることでしょう。情報の伝わりやすさと正確性を重視し、資料などを作成した本人のチェックのみで完結させてみるのも一つの方法です。 仕事の優先順位や段取りの基準を見直すことで、普段の業務に使っている時間配分を変えることが可能です。

モチベーションアップ

従業員の仕事に対するモチベーションを高めることは、企業全体の生産性を高めることに直結します。 業務時間中とはいえ、どんな人も集中力を持続させるには限界があります。 例えば休憩をとって心身をリフレッシュすることで業務の継続にメリハリをつけ、仕事に対する従業員のモチベーションを回復することにつながります。 従業員のやる気を引き出しパフォーマンスの質を維持することで、生産性の向上が期待できます。

行動の可視化と組織内での連携

組織内の課題を見出し、それを解決するためには、上司が部下の行動を十分に把握して、業務のパフォーマンスにどのような影響を与えているかを知ることが必要です。 また組織において部門間の連携がいかにスムーズにすることも重要な課題です。 事前によく検討してルールを決め、組織間の連携の仕組みを確立しておくことによって、業務フローの中で連携不足による部門間の認識の相違を極力なくし、同時にミーティングや報告の数も最小限に減らすことができます。

ツールを用いた生産性向上の方法

プレゼンテーションツール

チームのプレゼンテーション能力を向上させるためには、最適なプレゼンテーションのツールを選ぶことも重要です。チーム全体のプレゼンテーション能力を高められるだけでなく、資料作成の時間短縮など効率化にもつながります。

会議室マネジメントツール

会議室を事前に予約することで、バッティングによる生産性の低下を防ぐことが可能になります。会議室以外の設備管理にも運用次第で使用できます。

リモートワークツール

出張の機会がある社員や、在宅ワークを導入している企業では必須のツールです。 作業場所を限定しない仕事が可能となります。

目標管理ツール

各従業員が常に自身の目標を意識、管理することで、業務へのモチベーション向上が期待できます。 また、評価面談時の材料として将来設計に役立てることができます。

スケジュール調整・タスク管理ツール

会議・面談の招集、不在時の連絡といった調整や連絡にかかる手間と時間を大幅に短縮でき、情報を共有することで行き違いを防げるほか、組織内の連携自分が抱えているタスクの状況を視覚的に把握できることで、進捗の確認や他者との連携によるタスクの管理がしやすくなり、生産性の向上につながることが期待できます。

企業側で設備を整え、有効なツールやシステムを導入することも重要なポイントとなりますが、こうした取り組みを推進する企業に対しては費用面での公的な支援制度も用意されています。

生産性向上のメリット

生産性向上のメリット

生産性向上とは

短時間で多くの成果をあげること

求められる成果を短時間で多くあげられるということ、短期間のうちに一定以上の成果をあげることができると生産性が高いと言えます。
また短時間で多くの業務を行うことによって遅延などのリスクを抑えることができます。

無駄な作業がない

無駄な時間をかけたり手間がかかっていない、業務の最適化がされているなど、業務における無駄が一切発生していない状態は理想です。

費用対効果が高い

少ない投資で大きな成果を出すというのも生産性向上の重要なテーマです。費用対効果が高ければ、会社の業績向上や成長促進にもコミットすることが可能となります。

働き方改革の最重要テーマ

労働人口の減少と長時間労働の是正、幅広い働き方の選択という点において、今の利益を維持しながら実現するには一人一人が多くの仕事を短時間でこなす必要があります。そこで生産性を向上する為の取り組みが必要となります。一人一人の生産性を向上させることにより、働き方改革に基づいた働き方を行うことができます。

メリット

多くの成果につながる

一人一人の生産性を向上することによって、より多くの成果をあげることが出来ます。運用次第では一人あたりの生産性を増やし一人で二人分の仕事を短時間でこなすということも不可能ではありません。

また一人一人が成果を多くあげることにより長期的な利益につながり、働きやすい職場環境と多くの利益を生み出す生産性の高い職場を両立させることができます。

効率化につながる

取り組んでいくうちに業務上の無駄を見つけ、改善することによって、職場環境の効率化につながります。些細なロスや時間短縮も効率化につながり、それを積み重ねることによって生産性の向上につながります。

生産性の向上が必要な理由

労働人口の低下

日本社会は少子高齢化、人口減少の時代に突入しています。労働人口が減少すると、企業にとって労働力の確保がさらに難しくなり、人手不足に拍車がかかることが予想されます。そこで企業ができる努力として、少ない労働者でも成果が挙がるように、生産性向上に取り組む必要があります。

長時間労働の改善

長時間労働による職場環境の悪さ、労働時間に対する国民生産性という点において日本は先進国の中でも低い水準にとどまっています。長時間かけてたいした成果が出ないよりも短時間で多くの成果をあげることが求められます。

生産性向上と業務効率化の違い

業務効率化とは、今まで行っていた仕事のスピードを早めたり、ロスを小さくしたりと、無駄を省き効率化することです。生産性向上とは、「アウトプット」「インプット」の値を大きくすることです。つまり、業務効率化は生産性向上の手段のひとつとして考えることができます。

生産性の向上の為のご提案

生産性の向上により、働き方改革に基づいた働き方、また働きやすい職場環境と多くの利益を生み出す生産性の高い職場の両立が可能となります、しかし方法がよくわからない、どのようなことが効果的なのかという疑問が多くあります
IT企業ではシステムやツールを用いて、業務状況を管理することにより、効率化とそれに伴う生産性の向上が行われております。他の業種でもこれらのシステムを用いた働き方改革の実現を行う動きが出てきております。