外国人労働者活用の事例

外国人労働者活用の事例

外国人労働者の活用成功事例

製造業での事例

自社にとって海外進出は必須であるという雰囲気を社長自ら積極的に発信し、グローバル化の意識をまず社内に浸透させることで、外国人労働者の受け入れ態勢を準備して行きました。採用にあたっては外国人留学生と企業とのマッチングサイトや合同会社説明会、就活フェアなど様々なチャンスを活用し、社長が率先して採用を進めました。同時に、日本人社員に対しても外国人講師による英語教室を開催することで、外国人と日本人社員の相互理解を深める施策に注力しました。その結果、外国人だけでなく日本人社員にも意欲向上がしました。

販売業での事例

労働力不足に悩むコンビニ業界でも外国人労働者採用は積極的に進められています。ある大手コンビニでは新卒採用の1割を外国人留学生枠として設定。留学生は日本に興味を持つ人が多いため、日本の文化を学べることから意欲を持って働けると好評で、従業員不足解消につながっています。また別のコンビニでは、これまで各加盟店に任せてきた外国人従業員の研修を本部主導で行うように変更。従業員だけでなく加盟店オーナーも研修に参加することで、外国人育成のノウハウを効果的に身につけられるように指導を行っております。

昇進を明確化することによって定着率を上げた事例

外国人労働者はどう働ければ昇進したり、評価されたりするのかという点をとても重視する。  グローバルトラストネットワークスの場合、外国人労働者が納得して働ける仕組みを導入している。当初、外国人労働者の離職率が50%を超えることに悩み、定着してもらうために人事評価の透明性を高める評価制度を導入した。チームワークや業務改善への貢献など28項目について、無作為で選んだ8人が評価をする。評価をポイントに換算し、100ポイント貯まれば、5000円昇給するように仕組みを考え、結果離職率は5%にまで下がった。社員の7割が外国人となり、13カ国出身者が働く職場になった。公平な評価を導入することで、外国人社員のやる気を引き出しました。

自社のスタイルに合わせた外国人人材の活用を

日本企業が持つ働き方への価値観と、外国人の方の働き方への意識が乖離しているケースは少なくありません。 労働力問題の解決を国外に頼っていく場合、そのギャップを埋めていく必要があります。もちろん、企業ごとにも文化が存在し、立ちはだかる課題は異なるでしょう。

外国人労働者の雇用傾向

外国人労働者を雇用する事業所ともに、製造業が最も多くなっていますが、近年では減少傾向にあります。一方で宿泊業、飲食サービス業、卸売業、小売業、建設業が増加してきています。 特に、日本に訪れる外国人観光客のインバウンド需要が拡大しており、そういった外国人観光客への対応を高めるために外国人の採用をしている企業が増えてきています。

外国人雇用の支援体制

外国人労働者を雇用する場合、前述のような雇用状況届け出や労働者本人状況の確認、雇用管理の指針の順守など、さまざまな手続きやルールに伴って実施をする必要があります。 日本人の労働者を雇う場合とは異なる内容があるため、国では外国人雇用を行う事業主向けのサポート体制を敷いています。

外国人雇用サービスセンター

外国人雇用サービスセンターは、東京、名古屋、大阪、福岡といった各拠点に設けられた外国人留学生向けの支援センターです。 具体的なサポート内容としては、留学生向けの就職ガイダンスや大学訪問ガイダンス、留学生対象のインターンシップ、就職説明会の実施、職業相談や職業紹介などが行われてます。

ハローワーク

ハローワークでは、外国人労働者の雇用状況届け出に関する業務を行っていることから、届け出書類の取り寄せや記入例などのアドバイスを実施しています。 また、主要都道府県に新卒応援ハローワークを設けており、その中にある「留学生コーナー」では専門的・技術的分野に該当する外国人や留学生の就職支援活動も行っています。

外国人雇用管理アドバイザー

外国人雇用管理アドバイザーは、外国人労働者を雇うにあたっての雇用管理にまつわるさまざまな相談を受けつける機関です。事業所ごとに雇用管理に関する問題点を洗い出し、改善案の提示を受けることができます。 アドバイザーの支援を希望する場合は、近隣のハローワークに依頼することで派遣を受けることが可能となります。

システム化によって業務をスムーズに

外国人労働者と仕事をする際どうしても言葉の受け答えや想定外の行動で、業務が思うようにいかない場合があります。そこでシステムを用いてその日ごとの予定、業務内容を入力、可視化することによってどのような行動をすれば良いのかなどの適切な指示を行うことができます。外国人労働者の指示による負担を軽減することができます

外国人労働者活用に関する補助金・助成金

外国人労働者活用に関する補助金・助成金

外国人雇用に関する助成金

中小企業緊急雇用安定助成金

対象となる企業は中小企業であることは名前の通りですが、直近の3カ月、もしくは前年の同じ時期に比べて生産量が減少していることが支給の対象となります。このケースでは休業手当や出向手当として5分の4が支給されるだけでなく、教育訓練を行う経費として1日6000円がもらえます。会社を立て直すために外国人労働者の労働力を頼る際に積極的な活用が求められるということです。

雇用調整助成金

もう1つは雇用調整助成金ですが、今度は大企業を対象としたものです。こちらも生産量が減少していることが条件となっていきますが、重要なのは生産量の減り方です。この場合は5%以上の減少が条件となり、それによって支給がなされます。もらえるお金は、休業手当や出向手当にあたるお金の2分の1、そして教育訓練の経費として1日1200円が支給される形です。中小企業向けのものと比べるとやや小規模な印象を与えますが、規模が全く異なることもあって、この程度のものでも問題はありません。

外国人雇用にも適用できる助成金

日本人労働者を本来対象にしたものでも外国人労働者に対して適用することは可能です。 例えばトライアル雇用奨励金は要件さえ満たせば1人当たり最大4万円を3カ月にわたって支給してもらえます。 条件としては外国人労働者が週に20時間以上働くことや、半年以上にわたって雇用がなされることが条件となっています。

助成金を活用する際の注意点

外国人を採用する際に最も気を付けなければいけないのは不法就労です。 例えば、採用した外国人が在留資格外の活動を行った場合などがそれに当たります。採用した外国人が不法就労の対象となれば、雇用主も一緒に罪に問われます。外国人を採用する際には、在留資格やパスポートなどをきちんとチェックして、就業後の指導も丁寧に行いましょう。 また、助成金の対象期間中に対象の外国人スタッフが休業しなければならない時は助成金の申請を調整しなければなりません。

外国人労働者活用のポイント

外国人労働者活用のポイント

外国人労働者を受け入れる際にまず確認すること

在留カードの内容確認

外国人労働者を受け入れるとなった場合、「就労ができる在留資格」を取得していることが大前提となります。在留期間がいつまでかを確認し、雇用期間と照らし合わせることも必要です。 もし、この工程を踏まずに、就労ができない外国人を雇用した場合は、不法労働助長罪の対象となり、雇用している企業も罰則の対象となります。
また、外国人労働者を受け入れた場合、ハローワークに必ず届出をしなければなりません。もし届出をしなかったり、虚偽の申告をした場合は、刑罰の対象となります。届出は外国人労働者が離職した場合も必要となります。 また、きちんと届出をして外国人労働者を受け入れた場合、日本人労働者と同様に、厚生労働省の助成金を受けられるメリットもあります。

受け入れ体制整備

会社の求める業務における能力基準や日本語力を明確化する

これは、外国人を採用する段階で最も重要になってくる要素です。 特に日本語能力に関しては、周囲とのコミュニーケーションが取れる程度の日本語力でいいのか、それとも商談等の場できちんと交渉できる程度の日本語能力まで求めるのかで、採用に掛かる労力が大きく変わってくる可能性があります。 また、日本語能力の見極めをおろそかにして採用してしまうと、もし、配置された仕事に適性がないと判断せれた場合であっても、配置転換するにも適所が見つからず結局は解雇するしかないという結果にもなりかねません。 こういったことからも、採用後揉めないために、語学力を含めた能力をどの程度まで求めるのかという基準をしっかり明確に作っておくことは不可欠なわけです。

法律上の必須事項

労災事故予防のために、雇入れ時に安全衛生教育を実施することが法律で義務化されています。 ただ、外国人労働者に対しては、教育をしても理解度がどれくらいあるのかということが懸念されます。 本人が理解できる言語での教材、レジュメで教育してあげれるような体制を作る場合があります。 大事なことは会社が理解される努力を可能な限り行い、本人からも理解している旨のフィードバックがあることです。 これは、安全衛生教育だけに限らず、業務のマニュアルも本人がわかる言語、もしくはイラスト対応してあげるなどのシステムを構築してあげることが大切です。また、これは雇入れ時の労働条件通知にも同じことが言えます。

労基法15条で従業員を雇入れた際は、書面による労働条件の通知が事業主に義務付けられています。 法律では特に“本人の母国語で”というところまでは義務付けられてはいませんが、ここは今後のトラブル発生の予防のために、本人の母国語で明示する努力はしておいた方がよいと思います。労働条件の要になってくるような部分や、服務規律などで、どうしても遵守して欲しい項目等からプライオリティーをつけて対応する等していく必要はがあります。

制度の有効活用

自治体によっては外国人労働者に向けた制度、雇用に関する制度が検討、運用されております。外国人労働者の雇用を行う際に利用することによってより優秀な人材を採用することができます。

高度人材ポイント制

高度人材ポイント制は、国内で働く研究者や経営者のうち、高度人材と認められた外国人に在留期間や永住許可要件の緩和などの優遇措置を与える制度です。 優秀な外国人の研究者や経営者を雇用する際には、高度人材ポイント制による優遇装置が受けられる可能性があります。

対象となる活動分野

  • 高度学術研究活動「高度専門職1号(イ)」は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導又は教育をする活動」とされ、大学などにおける研究・教育活動や民間企業における研究活動が認められます。
  • 高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」は、「本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動」とされ、企業で技術者として製品開発業務やセールス・プロモーションなどの企画立案業務を行う活動が認められます。
  • 高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」は、「本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動」が認められます。

出入国管理上の優遇措置

  • 複合的な在留活動の許容
  • 在留期間「5年」の付与
  • 在留歴に係る永住許可要件の緩和
  • 配偶者の就労
  • 一定の条件の下での親の帯同
  • 一定の条件の下での家事使用人の帯同
  • 入国・在留手続きの優先処理

認定要件

認定要件は、ポイント合計が70点を超えることに加えて、高度専門・技術分野及び高度経営・管理部門においては年収300万円以上であることです。 年収が300万円に達しない場合は、ポイントの合計が70点を超えていたとしても高度人材と認定されません。

外国人労働者活用のデメリット

外国人労働者活用のデメリット

文化の違いのデメリット

文化の違い

日本と外国では文化や常識が大きく違います。 それはビジネスシーンでも例外ではなく、文化や習慣の違いはプラスに働くこともあればマイナスに働く事もあります。 例えば、日本人同士なら可能な「空気」を介したコミュニケーションも外国人とは難しいです。 そう言ったことも理解し、配慮をした上で、日本の文化も含めて指導する必要があります。

仕事に対する意識の違い

日本人であれば、その日、その週に終わらせなければいけない仕事があれば、残業したり家に持ち帰ってでも終わらせる風習がありますが、 外国人は時間にルーズな面もあったり、仕事以上にプライベートを大切にする人も少なくないです。 労働時間が終われば退社する人、その日のタスクが終わったのだからそれ以外の事をする必要が無いと考える人もいます。 そう言った仕事意識の違いからくる弊害が社内で完結するならまだいいですが、取引先などの信頼を失ってしまう可能性もあります。 多くの場合、外国人労働者は仕事に対する意欲も高く、日本に合わせて変化できる柔軟さも持ち合わせていますが、 場合によっては、外国人労働者の仕事意識を理解する努力、日本の労働観を知ってもらう努力も必要になってくるでしょう。

言語

外国人労働者の中には、日本語を高いレベルで身につけている人もいれば、ほとんど話せない人もいます。 いずれにしてもネイティブではありませんので、言語の違いからくるデメリットは考えられます。 言語の違いによる弊害が少ない業種だとしても、社内での情報共有など、外国人労働者が理解できる言語での伝達が必要になります。 場合によっては外国人労働者が孤立してしまい、本来のスキルが引き出せないケースもあります。

雇用に関するトラブル等

労働者管理

外国人労働者を採用する上での書類手続きや労務者管理が複雑になります。日本での滞在資格や就労資格があるかどうか、その職種に就く資格があるのかどうかの確認が必要です。さらに、外国人労働者を一定数以上雇用するときには、管理責任者を選定しなくてはなりません。また外国人労働者を受け入れる社内体制を導入し、整備するまで、時間と手間がかかります。また知らずに不法就労者や就労できない在留資格を所持している人材を受入れてしまった場合、受入れた企業にも責任が問われる可能性があります。

差別的待遇の禁止

「外国人労働者=安価な労働力」という見方は根強いようですが、賃金や労働時間等の差別は禁止されています。

社会的な影響

外国人労働者が多数浸透することにより日本人の雇用機会が減少する可能性が指摘されています。また地域社会における文化・習慣の違いに基づく摩擦の発生、不法就労、犯罪の増加も懸念されています。

受け入れは慎重に

外国人労働者の受け入れに関しては、やるべきことは多々ありますし、受け入れ後も多くのことが必要になります。外国人労働者の受け入れは日本人を採用することとは異なり気をつけるべきポイントが多くあります。社内の状況を見て本当に外国人労働者を受け入れる必要があるのか慎重に判断する必要があります。

外国人労働者活用のメリット

外国人労働者活用のメリット

増えている外国人労働者

日本の少子高齢化は歯止めがかからず、労働者人口は減っていくばかりで、改善する気配がありません。「労働力として移民政策を推進するべき」という意見も多く、実際に企業は外国人労働者を増やす傾向にあります。

外国人の採用によるメリット

グローバル化による多言語対応

自国の言語はもちろん、日本語や英語も話せる方もいて、3ヶ国語以上のマルチリンガルも珍しくありません。 そのため、外国人のお客様の接客、翻訳・通訳など、さまざまな場面で活躍が期待できます。また国内市場の縮小を見据えた海外進出への足掛かりにも期待ができます。

優秀な若手人材の確保

日本では採用が苦戦しがちな「若手の優秀人材」を海外から採用することができます。特に新卒のエンジニアに関しては、海外から採用している企業が増えてきています。

日本人を採用するより人件費を削減しやすい

発展途上国の場合自国で働くよりも、給与面での待遇が良いということで、日本に仕事を求めてやってくる場合があります。 このような外国人労働者は、言語能力の不足などの理由により、比較的低賃金で採用できるというメリットがあります。 もちろん、法律で定められた最低賃金を下回るような水準にすることは禁止されています。外国人労働者と使用者との話し合いにおいて、法律の範囲内で決定する必要があります。

外国人労働者受け入れの注意点

外国人労働者の受け入れにあたって気を付けなければならないポイントも多々あります。

異文化と民族性を理解する

気質や常識は世界共通ではありません。

差別的待遇の禁止

「外国人労働者=安価な労働力」という見方は根強いようですが、賃金や労働時間等の差別は禁止されています。

労務管理の知識が必要

基本的なことですが、日本での滞在資格や就労資格があるかどうか、その職種に就く資格があるのかどうかの確認が必要です。さらに、外国人労働者を一定数以上雇用するときには、管理責任者を選定しなくてはなりません。

外国人労働者を雇用するメリットは、ただ単に日本人労働者より安い賃金で多くの労働者を確保できるほかに、労働意欲のある外国人労働者を活用することで日本人だけの企業に起こってしまいがちな業績停滞の打破、そして日本人だけでは到底出てこないようなアイデアなどを期待することができます。 さまざまなメリットがある一方で、デメリットにも目を向ける必要があります、外国人雇用の際には、事前に専門家に相談しながらトラブルが起きないよう準備を進めておく必要があるでしょう。