改革は不可能?でも生活に必須? ブラック業界

改革は不可能?でも生活に必須? ブラック業界

ブラック企業

全然無くならないブラック企業

電通の事件以降あれだけ働き方改革が叫ばれてもなおそれを無視し続ける企業は一定数存在します。

しかし働き方改革の取り組みはどの企業でも行わなくてはなりません。しかしすべての企業とは言いませんがブラック業界と言われる業界や企業では形だけで解消したり、そもそも対応する気がなかったりと働き方改革とは程遠い状況です。

ブラック業界とは

ブラック業界とは、労働環境が劣悪なブラック企業が生じやすい業界の事です。それぞれの会社独自の方針でブラック企業が生じていますが、業界によってはどうしてもブラック企業が発生しやすい業界があります。

業界そのものの利益率が低くて、結果的に人件費を抑えなくてはならなかったり、クライアントとのやり取りで、どうしても納期を守らなくてはならなかったり、ブラック企業が出てきやすくなる温床になっております。

ブラック業界であるかよりブラック企業かどうかが重要

とは言え、厳密に判断すべきは、その企業がブラック企業か否かです。単にブラック業界だからという理由で求職者が敬遠ばかりしていれば、極端な話、その業界の労働力が減り、的確なサービスを受けられなくなります。現に保育士の不足により、待機児童問題が生じています。

ブラック業界に過敏になりすぎず、あくまでもブラック企業が多い傾向があると慎重になり、更には、各企業がどうかの判断を見極めることが求職者にとって重要なことです。

就職してはいけない業界?!ブラック業界一覧

特徴として小売、飲食など生活に関わっている業界が多いことです。低価格で様々なサービスが要求されるため、必然的にブラック体質になりやすい傾向があります。また介護業界、医療も需要の急増に伴い人手不足が深刻化しており、人手不足からくる長時間労働が常態化しております。

もちろんすべてがすべてというわけではありませんが、企業の調査をしっかり行い、自分に適していないと思ったら避けた方がいいでしょう。

飲食業界

ニュースでも過労死や労働問題が度々取り上げられます。お客様商売のため、元々の休日も少なく、また、利益率も低いため、そのしわ寄せが従業員に及び、従業員が酷使されるケースが多いです。

労働時間の長さと、休日の少なさは他の業界と比較しても顕著で、それとは反対に給与の少なさも問題となっています。利益率の低さから真っ当に残業代を支払える企業も少なく、働いている割には給与が合わないといった問題があります。

ブラックバイト

介護業界

介護業界は前述した通り離職率が高く、かつ助成金目当てで運営している施設では長時間労働・人手不足が蔓延しているせいで劣悪なイメージが定着してしまっています。低賃金に対して仕事内容はかなりの重労働です。そのせいで職員がストレスを溜めて人間関係がギスギスし、結果職員の離職につながるということも多いです。

労働環境の劣悪さは、全国規模で問題視されています。国に頼って改善を待っていても、なかなか厳しいものがあります。ただ一応介護業界は働いた年数がちゃんとキャリアとして認められる業界です。

IT業界

IT業界はブラック企業も多い、ブラック業界と言えます。特に、スピード感も早く、常に新しい技術が求められます。また、企業自体も若く、労働環境が整っていない不安定な企業も多いと言えます。

IT業界に代表されるエンジニア職では、開発の納期があり、納期を守るために、遅くまで働きます。終電近くまで働くという方も多いようです。 また、納期直前になると、会社に寝泊まりすることも少なくなく、クライアントや上流工程の企業から突然仕様変更を指示され、更には、システムの問題が発生し・・・いつまでも帰れない「デスマーチ」に突入することもあります。
その過酷な環境から「3K(きつい・厳しい・帰れない)」「IT土方」などとも揶揄されています。またほとんどの現場は成果主義のため、昇給が難しくなっています。

また固定残業代で残業代を抑えている企業も多く、また、技術職ということで、裁量労働制を取り入れている企業もあります。しかし、それらの適用の仕方によっては違法性もあり、会社が悪質な場合、労働基準監督署など外部に相談することも考えて下さい。

不動産業界

不動産業界は、営業職の傾向が強く、それに伴い、上下関係やノルマなどの問題が生じます。よくあることがパワハラ問題で、売上が作れないことから、精神的に追い込まれてしまう人も多いようです。
また、歩合制が多く、売上が行かなければ、最低賃金すらままならない企業も見受けられます。

一方、無理なノルマや理不尽な要求によって、悪質なパワハラなどが頻繁に行なわれているようであれば、外部に相談することも考えて下さい

小売業界

小売業界の中で、特にブラック業界と考えられるのが、コンビニ関連です。便利さが求められるコンビニでは、様々なサービスが提供され始め、そこで働く従業員に負荷が及んでいます。
業務の多さに対して、賃金が低く、また小売業界では、基本的に営業時間はお客様対応を行ない、空いた時間や営業終了後に事務作業などを行うため労働時間が長くなります。それでも賃金は変わらない企業がほとんどです。

アニメ業界

アニメ業界のブラックっぷりは他の業界と比べ郡を抜いて劣悪な環境にあると言えます。

アニメ業界は、制作進行としてなら、車の免許さえあれば他に要求される資格は特にないので誰でも入れます。若手の平均年収は110万円程と異様に少なく歩合制なので残業代も出ません、「君の名は」の制作でもアニメ用のカット1枚200円程にしかならず、1日の平均睡眠時間0~4時間、月600時間以上勤務など過酷かつ劣悪な環境が常態化しています。

「好きな仕事をしたい」という若者の心理につけ込み、劣悪な労働を甘受させる典型的な「やりがい搾取」により人材の確保と現場の回転を行っています。業界へいられなくするという脅しを使ったパワハラで人手を離れないようにする、タコ部屋に押し込めるなどブラック通り超えてもはや現代の奴隷制度です。


起きてからじゃ遅い ブラック業界の事件・事故

ワンオペで強盗増加?負担と危険の販売、飲食業

店舗を1人だけで回さなければいけない状態をワンオペと呼びます。深夜時間帯に多く、また最近の人手不足の影響でシフトの都合がつかないと昼間でもワンオペ状態となることにもなり、従業員の負担が大きくなります。
とある牛丼チェーンではこれが恒常化し休憩なしの24時間連続勤務など、ネットでの告発が相次ぎました。
またワンオペを狙った強盗が多発し問題になりました。

事故の原因はブラック企業?運輸業の過酷

2016年の軽井沢のバスの事故をはじめ、全国的に相次いでるバスやトラックの事故、背景としてバス会社はライバル企業の増加で無理な値下げと増発を強いられ、運送業はamazonをはじめとしたインターネットショッピングの発達による需要増により過労運転が常態化してしまっているのが原因です。

運輸業は長距離運転が多く過労になりやすい上バスに至っては価格競争で賃金はよくありません。価格競争で真っ先に削られてしまうのは人件費ですからこういった背景も劣悪な環境を作る原因となっております。
この事態を深刻に受け止めた一部大手は改善に取り組んでおり、ヤマト運輸はamazonの当日配送の取扱をやめ、賃金などを見直すなどの改善の動きがありますが、需要に対し人手が足りず問題は山積みです。

働き方改革も悪用される?

ブラック企業は自らの利益しか考えていないため、働き方改革も抜け穴などを見つけ悪用される危険性があります。抑止策はあるものの、いたちごっこになる可能性が高いです。

働き方改革で残業減少が手放しで喜べない

働き方改革では、休日労働を含む残業時間が「1か月100時間、2~6ヵ月平均80時間」に制限され、これを超えると企業は処罰の対象となります。 しかしこの長時間労働の是正が、ただの残業代カットになっている企業が多くあります。具体的には個人にノートパソコンを付与して仕事を持ち帰らせることによって残業代をカットするという持ち帰り残業というものです。やっていることは無賃労働と同じです。

給与の改善が全くされてない企業に多く、基本給が低く、残業しないと生活できないほど安月給だったりと残業時間の規制だけでは問題が多く残ったままです。
また形だけ残業を減らす、違法なサービス残業で乗り切っている企業が多数存在していてどうしようもない事態も発生しております。

なんでうちの会社に高プロが?制度悪用の懸念

高度プロフェッショナル制度の適用要件は年収1075万円以上の専門職でそう簡単には適用できないのですが、ブラック企業によって「専門職」が偽装され、違法に高プロを適用される労働者が出てくるのではという懸念があります。 また、この1075万円という基準そのものが下がる可能性も高く。経団連は過去に「当該年における年収の額が400万円又は全労働者の平均給与所得以上」の労働者に対して労働時間規制の適用除外を求めてきています。

ブラック企業を選別?四季報で離職率をチェック

四季報は企業の離職率・三年後新卒定着率を記載しています。「無回答」の企業は要注意だと考えておきましょう。ブラック業界でも優良企業の場合離職率が圧倒的に低いのが特徴です。
しかし四季報をもっても正確な離職率を把握するのは難しく、入社前にちゃんとしたデータを知りたい場合は採用担当者に直接聞いてみましょう。断られたら、入社希望者に見せられないくらい離職率が高いということです。

ブラック企業からの転職

ブラック企業に入ってしまった場合待遇が良くなることは一切期待できないため、即座に転職することをお勧めします。
また退職による損害賠償の請求や退職の拒否に応じる必要は一切ありません。

退職は労働者の自由

辞めたら損害賠償を請求すると言われた、辞めたくて、退職願いを出したのに、何度も呼び出されて延々と説得され、辞められないなど退職関連のトラブルが急増していますが、雇用期間に期限の定めのない労働契約、いわゆる正社員の場合、各当事者は2週間の予告期間をおけば「いつでも」(またいかなる理由があっても)解約できるとされ、退職の自由は法律で認められてます。
法律の手順を守って退職する限り、万一損害賠償請求がされたとしても、それは使用者側の損害賠償請求行為の方が不当ですから、そのような請求が認められるものではありません。逆に訴えればほぼ確実に勝てます。

また退職の意志がある証拠を残す方法として退職届を「配達証明付き内容証明郵便」で会社に送るという方法があります。内容証明郵便とは、「誰が、誰宛てに、いつ、どんな内容の手紙を出したのか」ということを郵便局が公的に証明するもので、裁判などに発展した際に有効に活用できます。

また最近は退職代行というサービスもあり、弁護士資格の持っている業者が悪質な企業に対し退職手続きを行うという事を5万円から行っているため、あまりに悪質な引き止めなどがある場合は利用するのもいいかもしれません。

提示された労働条件が違う場合

会社に入社してみたら、雇用契約の内容と業務の実態が大きく異なる場合、労働基準法15条2項の「前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。」とあり、すぐに退職することが可能です。これは正社員に限らず、アルバイトやパート、派遣社員でも同じです。

働く意思があるのに、会社から退職を迫られる

今度は逆に会社から退職を迫られる場合ですが、労働基準法上厳しい制限があります。そのため、会社は社員に自分から退職させるために、退職を強要することがあります。

しかし、退職の強要は民法709条の不正行為になっております。そのため、もし退職の強要によって退職してしまったら、会社に対して、損害賠償請求と退職の取り消しを求めることができます。

企業の調査はしっかりと行う

当然ですが企業や業界の下調べはあらかじめしっかり行う必要があります。今の環境に不満を持ち転職をするというのも有効な手段でもありますがよく調べずにまた同じような環境に陥ってしまっては意味がありません。業種、企業の調査はしっかり行いましょう。中には業界丸々ブラックな環境という事もありますので注意が必要です。

人材紹介サービスの使用

結局どの職業につけばいいのか、自分では判断しづらいという場合は、人材紹介サービスなどを使用し相談しながら決める方がいいかもしれません。 基本無料のサービスで相談内容、スキル次第でより希望に近い企業、職種を紹介してもらえます。

そもそもなぜブラック企業が増えたか

単純に言ってしまうと長年の不景気が原因でこのような事になりました。 現在のように景気がよくなり人手不足になると、ブラック企業は減ります。勤めた企業がブラック企業なら、さっさと辞めて別の企業に移ることができるようになるからです。

しかし小泉純一郎や竹中平蔵が推し進めた構造改革路線、民主党政権が進めた超円高によるデフレ政策によって、ブラック企業が大量に生み出されました。

しかも不景気に慣れきってしまったこともあり、安くて高品質な物、無料でのサービスという文化を有難がる国民性になってしまい今日までブラック企業を生き長らえさせる原因ともなっています。
景気が原因とはいえ消費者がブラック企業を増長させました。

使い捨て

ブラック企業はこれからどうなる

働き方改革による意識の高まりのためブラック企業は避けられる傾向が出てきており、また人手不足も伴って減少すると見られていましたが、製造、販売、介護業界などでは人手不足を補うため外国人労働者や技能実習生の制度を利用して今までより安く労働力を確保して乗り切ろうとしております。また違法なサービス残業などで形だけの残業の削減は未だに横行しており、根本的な解決は難しい状況です。実習生の失踪等も相次いでおり未だ深刻な問題となっております。

まとめ

働き方改革による意識の高まりのためブラック企業は避けられる傾向が出てきており大手もコンプライアンス遵守を大きく打ち出しております。業界も改善の努力は行っております。業界がブラックでもみんながみんなブラックというわけでは無く、改善に取り組んでいるところもあるため一概に決めつける事はありません。

もちろん、ブラック業界であっても業種によってはそれをやりがいにする人もいるでしょう。そして、中には労働者を物のように扱う、ブラック企業が確かに存在します。求職者は事前に調査をしっかりと行いましょう。

働き方改革で注目! コンプライアンスとは

働き方改革で注目! コンプライアンスとは

ワークライフバランス

コンプライアンスとは

コンプライアンスとは直訳すると「法令遵守」という意味となります。法令だけではなく、社会的規範などの遵守も求められています。法令遵守が出来ているか就業規則や社内規程等がしっかり出来ていいるのか企業倫理や社会的規範を遵守しているかが問われます。

重視されるコンプライアンス

コンプライアンスの概念自体は以前から存在はしておりましたが、電通の不正な労務管理による過労死問題や 東芝の粉飾決済など昨今の企業ぐるみの不正行為や労働問題が多くなったことから見直しが叫ばれております。特に働き方改革において、労務問題による違反は労働者に大きく影響するため重要な問題となります。

企業の不祥事を防ぐ

2000年代に入ってから大企業の不祥事が続いたことを契機にコンプライアンス体制の整備が求められるようになりました。 大きな法令違反を犯した企業は、そのことにより社会的信用を失い、倒産することも少なくありません。コンプライアンスを徹底することで、事業活動に伴う様々なリスクを回避することができます。また、問題が生じた場合でも、想定されるケースを分析しておくことで、損失を最小限に抑えることができます。

また近年ではバイトテロと言ったSNSを通して従業員による不適切な行為なども問題視されており、このような予期せぬ不祥事を防ぐためにも教育の徹底や社員にも社会的規範の意識をもたせることが重要視されております。

企業価値の向上

コンプライアンス体制の強化することで、企業としての価値を向上させることにもつながります。企業コンプライアンス体制をホームページなどで公表することにより、消費者をはじめとした利害関係者から、リスクの少ない企業として信用を得ることが出来、また社会的貢献として積極的な環境活動や災害支援などの社会貢献活動を行うことにより、社会から評価を得ることができます。

コンプライアンス関連語

CSR(企業の社会的責任)とは

一般的には、法令遵守にとどまらず、社会や環境などへも配慮し、株主、顧客、従業員、取引先などの利害関係者に対して説明責任を果たすことで、企業価値の向上を目指す考え方のことを言います。

コンプライアンスはCSRの基礎となるもので、企業コンプライアンスも社会的責任を重視する傾向にあるため、同義に近いものになってきていると言えます。

コーポレートガバナンス

企業統治という意味で、一般的には、企業の利害関係者が経営者の利己的な判断を監視、牽制しながら経営をコントロールする仕組みのことを言います。

労務コンプライアンス

労務に関するコンプライアンスの制定は「使用者と労働者の関係」の問題で、働かせ方、日常の労務指揮の一環として、時間外・休日労働命令や教育指導のあり方について法令遵守が行われているかを指します。(長時間労働やパワーハラスメントが大きく問題視されています)

違反するとどうなる?

法令違反は当然、刑事罰の対象にもなる可能性も高い問題です。しかし、現在のようにコンプライアンスの概念が拡大すると、経営活動や商品・サービスに関して消費者や社会に対する倫理的な問題が生じただけでメディアやSNSで拡散され、企業活動に大きな影を落とすリスクが生まれます。

もしコンプライアンス違反の問題が大きければ、消費者はもとより業界や社会の中で築き上げてきた社会的信用が一瞬にして失われます。 場合によっては、消費者による不買行動や取引先からの取引停止が発生する可能性もあります。

たとえ企業にとっては軽微であっても場合によっては会社の存続危機に発展してしまうほど重大です

ブラック企業

ブラック企業や働き方改革が大きな社会問題となっている現在、連日のように劣悪な労働環境に関するニュースが報道されています。とくに違法残業の問題は労働者にとって残業代の未払いだけでなくときに生命の危険まで脅かされる重大なテーマです。

長時間労働によって労働基準法で定められた労働時間をはるかに超えて残業を続けた電通社員が過労死自殺したニュースは世間に波紋を呼びました。 また、最低賃金法違反で代表が逮捕されるというケースもあります。従業員に支払うべき給与が未払いの状態が続いたため管轄の労働基準監督署による度重なる出頭要請にも関わらず代表が応じなかったこと、さらに逃亡の恐れや証拠隠滅の可能性があったことが背景にあります。

労働基準法では法定労働時間を1日あたり8時間まで、1週間で40時間までと定めています。ただ、企業運営の上でどうしても残業が発生し、もし法定労働時間を超える労働や休日労働をさせたい場合、企業は労働組合との間で書面による取り決めが義務づけられています。この時間外労働時間のルールを根拠となる労働基準法第36条にちなんで36協定と呼びます。

たとえ36協定で法定労働時間を超える残業の取り決めがあっても、締結した労働時間を超えて働かせることはコンプライアンス違反となります。

違反になる風習

当然ですがサービス残業を強制することも労働基準法違反となります。

また毎朝、定時前に出社して朝の掃除をさせることや、残業時間30分以下は切り捨てたり、定時より30分経過してからでないと残業時間に含めないなどの社内ルールなど、会社独自の労働時間に関する風習は、労働基準法の労働時間の取り扱いの点から誤っているものばかりです。

このように日本の企業は日常の業務の中に法律的な観点からコンプライアンス違反となる風習が多く潜んでいます。 「昔からの会社のルールだから」「上司からの命令だから」などコンプライアンスに対してあいまいなブラック企業はいまだに存在しています。

コンプライアンスへの対応

会議

行動規範の策定

企業コンプライアンスを推進していくためには、具体的な行動規範の策定が必要です。自社の経営理念との整合性や、重要性を考慮したうえで、具体的な取り組み内容を決定していきます。
東京商工会議所が公開している企業行動規範を参考にすると、CSRなどの考え方も取り入れ、次の大枠が示されています。

  1. 法令の遵守
  2. 人権の尊重
  3. 環境への対応
  4. 従業員の就業環境整備
  5. 顧客・消費者からの信頼獲得
  6. 取引先との相互発展
  7. 地域との共存
  8. 出資者・資金提供者の理解と支持
  9. 政治・行政との健全な関係
  10. 反社会的勢力への対処

就業規則や各規程の整備

法令の遵守を徹底していくにあたっては、就業規則などで規定されている事項が社内において適切にルール化されていることが必要です。 各業務に関するルールなどを明文化して、社員間で認識の違いがないようにする必要があります。

また、これらの就業規則や各規程については、各社員に配布、あるいはいつでもアクセスできるように共有ネットワーク内に保存するなどによって周知徹底を図り、社内の秩序を保っていくことが重要です。

担当部門の設置

企業コンプライアンスを推進していくためには、その推進体制の整備も必要になります。コンプライアンス担当部門はコンプライアンスを推進するための経営トップ直属の部門です。経営トップの直属とすることで、問題があった場合の報告も含めて、権限を持って迅速に対応することができます。 社内のコンプライアンス推進状況を定期的に確認し、マニュアルなどの改正についても責任を持ちます。

また企業コンプライアンス体制を強化していくうえで、最も効率的なのは、弁護士や社労士などの専門家を活用することです。遵守すべき法令は多岐に渡る為、専門家に頼るのが必須と言えます。

まとめ

コンプライアンスは、法令だけではなく、社会的に求められる倫理規範や道徳規範なども遵守するものであり、企業が事業を継続していくうえでは必須のものになっており、 法令違反によるリスクを回避、損失を軽減させるとともに、企業価値を向上させる役割を持っています。

コンプライアンスをしっかり守ることによって、社会的な貢献ができる会社であることをアピール出来ます。

仕事と育児を両立 時短勤務とは

仕事と育児を両立 時短勤務とは

時短勤務制度とは

すべての会社で必須義務の制度

仕事と育児を両立させるうえで使える制度が「時短勤務制度」です。 「短時間勤務制度」略して「時短勤務」は「改正育児・介護休業法」という法律で定められ、すべての会社で「短時間勤務制度」と「所定外時間外労働の免除」が必須義務となっています。

育児短時間勤務の条件

3歳までの子を養育する労働者が、1日の所定労働時間を原則6時間とすることができます。該当条件としては。

  1. 3歳に満たない子を養育する労働者であること
  2. 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
  3. 日々雇用される労働者でないこと
  4. 短時間勤務制度が適用される期間に現に育児休業をしていないこと
  5. 労使協定により適用除外とされた労働者でないこと

原則、子どもが3歳に達するまでが対象ですが、小学校就学の時期まで対象とすることが努力義務とされています。

労使協定による適用除外の労働者

労使協定によって、事業主は以下の労働者を短時間勤務の適用除外者とすることができます。

  1. 継続した雇用期間が1年未満
  2. 週の所定労働日数が2日以下
  3. 業務の性質、または実施体制に照らして制度の適用が困難な業務に就いている

この労使協定は、事業所の過半数組合、過半数組合がなければ過半数代表者と事業主との間で書面による協定を締結する必要があります。 なお、厚生労働省の育児・介護休業法に関する指針では、労使間の工夫などによって適用の対象外とせずに、可能な限り適用の対象とすることが求められています。

短時間勤務の適用除外者への代替措置の設置義務

育児・介護休業法の第23条第2項では、短時間勤務制度を利用できない従業員に対し、短時間勤務に代わる措置を事業主に義務づけています。 代替措置として法律の中に挙げられているのは育児休業等に準じた措置、また、フレックスタイム制や出勤時刻をずらす時差出勤などの制度です。 短時間勤務制度を利用できない人にも、代替措置によって働き方の選択肢を増やすことは従業員の定着率向上にもつながるでしょう。

制度利用に関連した不利益な取扱いの禁止

指針では、育児休業をはじめ、子どもの介護休暇や所定労働時間の短縮措置などの申出や制度を利用した労働者に対する不利益取扱いを禁止しています。 不利益取扱いとみなされるのは、制度の申し出や利用などを理由にその労働者を解雇したり、降格したりすること、労働時間の短縮分を超えて減額を行った場合などです。

短縮された時間分について賃金の保障

改正育児・介護休業法では、短時間勤務の措置については事業主の義務としています。 しかし、法律の中に「短縮された時間の賃金まで保障するように」といった定めはありません。

そのため、法律上は働いていない時間分の賃金を支払う必要はありません。 会社に法律を上回る規定があれば別ですが、働いた時間数に応じて給与を支払うといった形になることが多いので、時短社員の給料は減少してしまいます。 1日の所定外労働時間をフルタイムの8時間から6時間に短縮した場合、基本給を4分の3にすることは法律上、問題ありません。

なお、企業が時短社員の給与を減額するのは経費削減のメリットだけなく、同僚など他の従業員との不公平感を和らげ、労働意欲の低下などを防ぐうえでも役立つといわれています。

担当者にとってトラブル防止も重要 実質労働時間に応じて給料が減額されるといっても、労働者にとって給料の減額は大きな問題で、労使間の問題に発展しやすいといえます。
そのため、短時間勤務制度について就業規則などに明文化して周知するとともに、本人が納得できるように減額の根拠などをきちんと説明することを心がけましょう。

時短勤務の疑問点

夫婦での利用は可能か

夫婦で制度を利用することは可能です。改正育児・介護休業法の適用除外の要件には、配偶者が育児できる場合や短時間勤務などの措置を受けているなどの要件は含まれていません。

育児短時間勤務の期間延長は可能か

育児短時間勤務は、養育している子供が3歳になるまで利用できます。 1回の申出は「1か月以上1年以内」の範囲として3歳に達するまでの期間であれば延長可能としていることが多いです。 また、子供が小学校の入学前まで、あるいは小学校卒業までといった形で適用期間自体を延長している企業もあります。

ハラスメント防止対策

就労規則における取扱い

短時間勤務制度を単に運用すればよい訳ではなく、就業規則等に規定したうえで従業員に周知し、社内の制度として適切に制度化されていることが必要になります。 また、人事や労務の担当者は制度の対象となる労働者の条件などをしっかり理解し、従業員の相談や問い合わせに適切に対応できるようにしましょう。

育児・介護休業法では、ハラスメント防止措置に関する事業主の義務を定めています 事業主は、制度を利用したい旨を申し出た労働者、あるいは育児休業や短時間勤務などの制度を利用した人に対するハラスメントの防止に向けて必要な措置を講じなければなりません。

また、ハラスメント防止対策が必要な労働者とは、性別を問わず事業主が雇用している非正規雇用労働者も含めたすべての労働者です。

時短勤務の活用

周囲の協力でワークライフバランスを維持

時短業務と言っても育児と仕事を両立することは非常に難しいため、周囲の協力は必須となります。希望を明確にし上司と相談し、いつ、どんな形で産休・育休からの復帰を希望しているのか、産休に入る前に一緒に時短勤務についても相談し、周囲の理解と協力を得ることも重要です。

限りある時間で最大の成果を

時短勤務にすることで、延長保育をしなくても保育園の迎えに間に合う、家事・育児に使える時間が増えるなどのメリットがあります。 とはいえ仕事に関しては時間内にしっかり行う必要があります。短時間で、しかも残業ができない中で成果を出していくためには、以前と同じ仕事の やり方では難しいことも。仕事は目の前のものをひたすらこなすのではなく、納期と重要度を確認して優先順位を意識して取り組むことが必要です。 また効率よく仕事を進めることが出来る環境づくりも重要となっていきます。

女性の社会進出に理解のある社会をめざして

時短勤務による育児の両立も女性の社会進出の一例ではありますが、昨今夫婦共働きなど女性が社会に進出する機会が以前より増えました。しかし育児や介護との両立の理解が進まないなどまだ問題が多く残されております。
企業には女性の社会進出に向けた環境づくりに対しての社会的責務が求められております。

女性活躍推進法とは

女性活躍推進法は、自らの意思によって働きたいと希望する女性が職業に就くにあたり、より自由に活躍することができるような取り組みを行い、豊かな社会を実現するために制定された法律で、平成27年8月28日に成立しました。この法律は「女性が仕事で活躍する」といった内容を事業主に対して義務化するというもので、 具体的には、女性の活躍推進に向けた数値目標を含む行動計画の策定及び公表、女性の職業選択に役立つ情報の公表が、国や地方公共団体、民間企業等の事業主に義務付けるものです。

えるぼし認定制度

えるぼしとは、女性の活躍推進の状況などが優良な企業に与えられる認定制度です。女性活躍推進法で定められた一定の基準を満たした企業のうち、より優良とみなされた場合に与えられます。えるぼし認定マークは自社商品や広告、求人活動などにも利用できます。そのため、社内外に広く女性が活躍している企業であることをアピールでき、イメージアップや認知度向上、それに伴って求人応募数の増加等につなげることができます。

えるぼしに認定されると、認定段階に応じて色分けされた認定マークを、様々な自社商材に利用できるようになります。 女性が活躍している企業、ワークライフバランスを推進している企業であることをアピールできます。この制度により女性の社会進出と企業価値の向上を行うことが出来ます。

ダイバーシティの推進

ダイバーシティとは、年齢や性別、能力などを問わず、多種多用な人材をより積極性を持って活用していこうという思想のことです。そもそも、社会的少数者の就業率アップを後押しするための考え方でしたが、日本では女性の活躍を推進するための取り組みを指すケースが多くみられます。 ダイバーシティを推進することで、女性労働者が置かれた状況を理解し、その特質を生かした雇用を行うことで、多用化しているビジネスモデルに対応できるだけの能力を企業にもたらすことが有効視されています。
多様性を会社側が受け入れ、新たな働き方を提案することで、就業やスキルアップを諦めていた女性が生き生きと働き続けることができる環境が生まれ、多様な働き方で就労する女性が増加するという効果があります。これらの推進と理解を企業が行うことによってより働きやすい環境を作り出すことが出来ます。

残業時間の平均 理想の働き方とは

残業時間の平均 理想の働き方とは

年々減少傾向?気になる残業の実態

厚生労働省が毎月発表している「毎月勤労統計調査」において、「所定外労働時間」は、大体平均して月間およそ10時間程度とされています。しかし実際は、残業時間を雇用主が把握していない、または知っていても黙殺しているなどという事態も考えられるため、このデータに信憑性があると断定する事はできません。

インターネット上でも情報を集める事は出来ますが、平均時間を赤裸々に書いている人もいれば、大げさに書いている人もいるため、正確な残業時間を断定するのは極めて困難であると言えます。

2018年の残業時間の平均28時間

マイナビの調査では2018年の残業時間は2014年から5年連続で減少し、調査開始時の2012年から18時間の減少の平均28時間となっておりました。ワークライフバランスの実現は大手企業が率先して行っている他、人材不足が叫ばれる業種に関しても人材確保に向けた健全な労働環境づくりに取り組んでいます。

残業時間が長いのは年収が高い層

残業時間が長いのは、年収が比較的高めである労働者です。30代後半で比較的高収入、という条件が揃っている労働者が、長く残業をしていると言えます。年収500万円から750万円の層は、およそ月間平均残業時間が60時間を超えているという統計があります。この事からも、残業の長さと年収は関係している事が見てとれます。

理想的な残業時間は10時間以下

理想的な残業時間だと考えられているのは、10時間以下であるという答えが大半を占めていますが、厚生労働省が「毎月勤労統計調査」において発表している「所定外労働時間」に合致しています。理想であるという事は実現していないという事ですから、やはり現状に合っているとは言えません。

また、残業が多過ぎると感じられるのは、30時間程度とする人が多く、30時間という数字はボーダーラインとして常に現れています。

残業時間が給与に反映されない、違法なサービス残業の問題が深刻化する一方、残業代を貰えるのであれば多少の残業は厭わないという考えを持つダラダラ残業が横行しているのも現状です。

労働基準法での残業時間のボーダーラインは原則45時間

36協定の上限は残業時間が月に45時間超えないように定められております。また特別条項を結ぶことによって無制限に残業をさせることが可能でしたが、働き方改革法案により月平均60時間、年720時間に制限されます。 一日の残業が2時間を超えている状況が常態化している場合は要注意です

過労死ラインに要注意

過労死ラインは月80時間の残業と言われており、これを超えると心身に異常をきたすリスクは一気に高まるとされています。心身が疲れているときは正常な判断がしにくくなり、特に鬱などの精神面でのトラブルを起こし、もし重篤な状態になってしまうと、仮に退職して転職してもすぐには全快せず、次のキャリアにも響いてしまう可能性があります。

過労死ラインということもあり健康状態も悪化し本当に過労死する事もあり得ます。 状況が悪いと感じたら転職したほうがいいかもしれません。

長時間労働の背景

そもそもなぜ日本の職場は長時間労働なのか

日本の職場環境は長時間労働になりがちで、また長時間働いたほうが評価されるという風潮が根強く残っており帰りづらい、みんな残って当たり前という空気があります。また安く高品質というアンバランスな仕事が横行しているため必然的に割に合わない多くの仕事が多い傾向にあります。また報酬のない長時間労働が美徳、自己犠牲を押し付ける文化が横行するなどブラック企業を生み出す温床にもなっているという極端なところもあります。

残業の原因

単純に仕事が終わっていない、無理に拘束されているとかそのような状況でなければ極端な残業は発生しないはずです。しかしなぜか社員が自主的に残業してしまって残業を減らせないということも多くあります。残業が発生する傾向としてはこのようなものがあります。

生活残業

生活費に残業代を充てているので、たいして仕事もないのに残業したがるというものです。以前から残業代を稼ぐためにわざと残業をするケースはありましたが、リーマンショック以降に低賃金による生活苦などで急増しました。

付き合い残業

上司が残業していると帰りづらいので、帰るまでつい会社に残ってしまうというもの、これは上司から早く帰るように促しましょう。付き合ってもいいことはありません。

無計画残業

締め切り前に遅くまで残業するのが当たり前になってしまっている状況に陥ってしまっているというもの、計画をしっかり立てチームでバランスよく分担して業務を行うなどの連携が重要になります。

残業を減らすためには

効率的な仕事を行う

従業員一人ひとりが意識することによって残業を削減する事が出来ます。また企業も業務の一つ一つの無駄を見直すことにより残業の削減に取り組むことが出来ます。
例えばルーチンワークは自動化する、書類の共有、作成をシステム化し時間を削減するなど必要のない仕事を自動化、削減することによって全体の業務を圧縮し、残業の削減を実現することが出来ます。

プレミアムフライデーの有効活用

プレミアムフライデーとは、月末の金曜15時に退社し買い物や外食、旅行などといった個人消費を促す政府の取り組みです。しかし企業が就業時間の短縮に否定的なのと、15時までに仕事が終わらないなど未だに定着していません。

しかし15時までと行かなくても早く帰れる風潮を作っておく、また残業が多い企業の場合残業禁止の日を週に1日指定する事によって、メリハリをつけた仕事が行えるほか長期的に残業の削減に繋がります。制度として失敗でも、早く帰るきっかけとして再利用したほうが建設的です。

違法の可能性がある残業

サービス残業は当然の違法ですが、就業規則や固定残業制を悪用した残業代の未払いも多く見られます。

就業時間が10時間の契約だから残業は少ない

会社との合意により法定労働時間を増やすことはできません。労働時間が8時間を超える場合は基本的に残業代が発生します。それを超えるようであれば残業代を払わなくてはいけません。

45時間超えたら自己責任

上限を超えた場合も残業代を払わなくてはいけません。36協定で時間外労働を月45時間と決めること自体は間違っていませんが、業務によりやむを得ずこの上限を超えた際残業と認めない行為は労働基準法違反です。残業代はその時間分払わなくてはいけません。

残業代が固定で出されている

固定残業は一定の残業時間を見込んであらかじめ残業代を定額で支払う制度であり、それ自体は許容されています。
しかし、固定残業代を超える残業代が発生する場合は、その超過分は支給されなければなりません。

定額で払われているから残業代は払われていると誤解しがちですが、明らかに固定残業代ではカバーできないような長時間残業をしても残業代が支給されない場合、残業代が一部未払いとなっている可能性があります。

長時間残業が日常化、改善しそうな気がしない場合

ある程度の規模の会社では、労働環境を守るためのコンプライアンス窓口が整っている場合もあります。社内での窓口を通じて改善を依頼しましょう。

労働基準監督署は、労働問題全般の相談受付だけでなく、法律に違反した会社への改善指導や悪質な事業者の逮捕も行っています。2019年4月1日以降(中小企業の場合は2020年4月1日以降)は36協定による残業時間の上限規制により、法的根拠をもって逮捕などの対応をしてもらえるようになります。もし違法な残業があった場合は相談する方がいいかもしれません。

そもそも長時間残業が常態化している会社は、業務の効率化ができていません。思い切って退職してもいいかもしれません。

働き方改革 参考記事

残業の少ない業種に転職する

残業の少ない業種に転職することによって、ワークライフバランスの取れた生活を送ることが可能となります。

ただし残業が少ないことは同時に効率的に働くことが要求されるため、そこを留意する必要があります。

残業の少ない業種

  • スポーツ/ヘルス関連施設
  • 薬局
  • 医療機器メーカー
  • 工場勤務

これらの業種の特徴としてシフトが決まっている、営業時間が決まっている店舗での仕事、仕事がルーチン化しているなどの傾向があります。

残業が少ない仕事のメリットとしては、定時であがれることが多いため、プライベートを充実させやすいことが挙げられるでしょう。 しかし、残業が少ないため、その分の収入が得られなくなるというデメリットもあります。

企業の調査はしっかりと行う

今の環境に不満を持ち転職をするというのも有効な手段でもあります。しかし職場環境に慣れずまた仕事量が多くて以前より残業が増えてしまうケースも少なくありません、業種、企業の調査はしっかり行いましょう。

中には業界丸々ブラックな環境という事もありますので注意が必要です。

ブラック業界 参考記事

サービス残業に要注意 分かりづらい残業の項目

残業時間が少なく公表している企業の一部ではサービス残業をさせて残業を書類上削っている企業も少なからず存在します。また残業代の項目をかなり分かりづらく記載したり、残業時間を別の名称で記載したりとブラック企業はあの手この手で体よく見せてきます。少しでも気になると思った箇所がある場合は直接担当者に聞いてみたほうがいいかもしれません

また、ハローワークなどに出す求人票に虚偽の記載を行った場合、罰則として6か月以下の懲役または30万円以下の罰金となっています。

人材紹介サービスの使用

結局どの職業につけばいいのか、自分では判断しづらいという場合は、人材紹介サービスなどを使用し相談しながら決める方がいいかもしれません。
基本無料のサービスで相談内容、スキル次第でより希望に近い企業、職種を紹介してもらえます。

まとめ

月平均47時間から月平均28時間と残業時間は年々減少の傾向にあります。 しかし、時間外労働の上限規制と共に、月60時間超の割増賃金率増への対応を考える上では、企業は「そもそも残業が生じない体制」の整備を急ぐ必要があります。これまでの長時間労働が当たり前だった職場において社員の働き方を変えるためには、長期的な取り組みが求められます。

また長時間労働が常態化している状況では精神的にも悪影響を及ぼします。もし改善の兆候がない場合、別の企業に転職ししまうというのも建設的な選択肢の一つかもしれません

働き方改革に対応するために見直し必須!! 就業規則とは

働き方改革に対応するためには? 就業規則とは

働き方改革

働き方改革関連法の成立で、就業規則の見直しが必須に

就業規則とは、労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について労働基準法等に基づいて定められた会社ごとの規則のことを指します。2019年4月に改正労働基準法が施行となり、各企業も働くためのルールである就業規則の見直しに着手する必要があります。

そもそも就業規則とは

就業規則の作成、届出義務があるのは、パート・アルバイトや、契約社員などの労働者等も含めた労働者が常時10人以上いる会社です。10人未満の会社についても、就業規則を作成している場合が多いです。厚生労働省の「モデル就業規則」の規程例や解説を参考に、各事業場の実情に応じた就業規則を作成・届出を行う必要があります。

ただし、派遣会社から自社へ派遣されている派遣労働者の場合は別となります。派遣労働者は、派遣元会社と契約を交わしている社員であるため、派遣先の常時10人には含まれません。

就業規則で定めること

絶対的必要記載事項として下記の3つは必ず記載する必要があります。また特定の制度を置く場合は就業規則に必ず記載しなければならない事項として相対的必要記載事項、服飾規定などを盛り込んだ任意記載事項を記載する必要があります。

絶対的必要記載事項

  1. 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇、就業時転換に関する事項
  2. 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項
  3. 退職に関する事項

相対的必要記載事項

  1. 退職手当について、適用される労働者の範囲、決定、計算及び支払の方法並びに支払の時期に関する事項
  2. 臨時の賃金及び最低賃金額に関する事項
  3. 食費、作業用品その他の労働者の負担に関する事項
  4. 安全及び衛生に関する事項
  5. 職業訓練に関する事項
  6. 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項
  7. 表彰・制裁の定めについてその種類・程度に関する事項
  8. その他その事業場の全労働者に適用される定めに関する事項

制裁規定の制限

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、また、総額が1賃金支払い期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないという制限があります。賞与から減額する場合も同様です。

就業規則は会社で勝手に決めていいものなのか

ブラック企業

就業規則で定めた労働条件は、その事業場における労働条件の最低条件としての効力を持つ。就業規則に定める労働条件は、労働基準法に定める基準以上かつ合理的なものとしなければならないとされております。

就業規則は労働基準法に基づき作成する必要があり、また労働基準監督署への提出が必要となります。「法律では8時間勤務だけどうちの会社は20時間勤務」と言ったことは出来ないため、社労士と相談して作りましょう。

労働者の意見を聴かなければならない。

就業規則を届出するには、労働者の代表者の意見を聴いて、その内容を記載した意見書を添付しなければなりません。 「意見を聴く」とは、意見を求めることであり、同意しなければならないとか、協議しなければならないとかいうものではありません。 「労働者の代表」とは、その事業所に労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、ない場合は労働者の過半数を代表する者のことを指します。会社側が指定することは出来ません。
また労働者の代表者は管理、監督の地位にある者ではいけません。

労働者に周知する

就業規則の内容は労働者に知らせなければなりません。周知していない就業規則を無効とする判例もあります。
また労働者に就業規則を見せない、渡さないという会社には、それ自体違法であり悪意があります。そうした対応を受けたときには、基本的に会社が違法行為を行なっている、ブラック企業です。

トラブルになるケース

企業内の労使間のトラブルは後をたたず、監督署や弁護士などを介する深刻な問題に発展するケースも多々みられます。一方、それほど深刻なケースではないものの、労使間で「言った」「言わない」などの行き違いから、会社の秩序が乱れる場合もあります。

このような行き違いを防ぐツールとして、就業規則は非常に有効です。たとえば、解雇にまつわる規程を整備することで、解雇トラブルを未然に防ぐことができます。また、雇用形態による待遇差について明らかにすることで、正社員とパートなどの間で生じる格差トラブルを防止することが可能となり、賃金規程などの明確化は給料トラブルへの対策となります。

また届け出をせず会社独自で就業規則を作成し、違法な労働を行うブラック企業も多くあります。

試用期間

「試用期間だから」という理由で安易に労働者を解雇出来る訳ではなく、雇用保険や社会保険への加入義務が免除されることはありません。

使い捨てブラック企業

機密保持義務

「社員は、会社又は取引先の機密を漏らしてはならない。これは会社を退職した後も同様とする。」など漠然とした定めで社員を拘束することは出来ません。

また、既に退職した元社員に対して就業規則を守れと言っても無意味です。 退職者に対しては、個別に機密事項と期間を特定した上で、機密保持契約を締結するか念書を取る必要が有ります。

有給休暇

有給は労働者の権利であり、取得に特別な理由は本来必要ないもので、いかなる理由があっても会社が取得を拒否することが出来ない事になっています。就業規則において有給の取得を制限することは出来ません。

また働き方改革において有給義務化が義務付けられますが、土曜祝日を有給扱いにすることにより、有給の消化を達成しようとしている企業も出てきているため、今後トラブルが増加することが懸念されます。

解雇事由

解雇は、相手に解雇の意思表示が到達しないと成立しません。また「勤務成績又は作業能率が著しく不良で、社員としてふさわしくないと認められた者は解雇する。」など曖昧且つ漠然とした規定では、実際に社員を解雇した場合、「不当解雇だ!」という労使トラブルの原因になるだけです。 何を以って勤務成績や作業能率が著しく不良と判断されるのかに対する客観的な基準を具体的に定めなければ解雇規定の実効性が有りません。

会社が就業規則を守らない場合

まず、就業規則の内容を定めるのは会社なので、その内容が個人の労働契約内容よりも下回っていたり、 新たに作成した就業規則がそれまでよりも低い内容になってしまった場合にトラブルになりがちです。

しかし、就業規則の適用は無制限に認められるのではなく、法律で規制がかけられています。まず、労働基準法などの法令を下回る就業規則の適用は一切できません。 また就業規則の一方的な変更も、一定の要件を満たさないと認められません。

参考記事

働き方改革関連法の対応が必要となる箇所

法改正

おそらく大半の企業が対応しなければならない箇所になります。新しく作成する就業規則の内容は改定後の労働基準法に合致していなくてはなりません。合致しているかどうかは社労士などに確認する必要があります。

同一労働同一賃金導入

非正規雇用と正規雇用の間の不合理な待遇差の解消です。日本では、フルタイムの正社員(無期雇用労働者)に比べ、有期雇用の労働者の賃金が低く抑えられる傾向にありました。これからは、同一労働同一賃金導入に向けた就業規則の整備が求められます。

残業時間の上限規制

2019年4月に改正される労働基準法では、残業時間について上限規制が定められることになりました。

  1. 臨時的な特別な事情がある場合でも、限度時間は720時間を上回れない
  2. 休日労働を含み、月100時間を超えない
  3. 2~6ヶ月の期間いずれも、休日労働を含んで月平均80時間以内とする

もしこの限度を超えてしまうと新たに規定される罰則の対象となってしまします。各企業については、改正労働基準法の施行後は、新たな36協定を締結する必要が出てきます。

年次有給休暇の取得義務化

労働基準法の第39条では、企業が一定日数の年次有給休暇を労働者に対して与えることが義務付けられています。
今回の改正労働基準法においては、年10日以内の有給休暇が付与される労働者について、5日間は取得が義務づけられることになりました。取得させない企業については罰則の対象となります。

しかし、有給義務化の制度を悪用し土曜や祝日、夏季休暇を有給扱いにし、有給消化を達成しようとしているブラック企業が出てきてしまい、今後トラブルの増加が懸念されます。

高度プロフェッショナル制度

高度で専門的な知識を持つアナリスト・プログラマー・コンサルタントなどの職種の人で、年収1075万円を超えるような労働者について、導入されることになりました。 労働者本人の希望が前提となるのですが、裁量労働制で労働時間管理の対象から外すという制度になります。 高度プロフェッショナル制度に該当する労働者については、健康確保措置を1つ以上取り決めしなくてはなりません。

休日については、年間104日以上、4週間で4日以上の休日を、対象となる労働者の健康維持のために定めることも義務付けられます。 就業規則の中に規定する場合、該当する労働者と非該当の労働者について、二重の基準で労務管理が求められます。 社員の合意を得た上で、就業規則の内容に盛り込んでいく必要があります。

特定労働者への支援

育児休業、介護休業について就業規則で定めていく必要があります。ただ、規定する内容が多いため、育児休業規程、介護休業規程と別規程にする必要があります。これらを就業規則に明記することによって周囲の理解を得るという事も重要です。

働き方改革 参考記事

モデル就業規則などの雛形やテンプレートを活用

厚生労働省のホームページに掲載されている「モデル就業規則」という就業規則のテンプレートを活用するという手段もあります。
厚生労働省が掲載しているモデル就業規則は、国が作成する雛形であることから、労働基準法を初めとした法律を遵守した、信頼性の高い内容が展開されています。

目次から各項目の条文が順に紹介されており、一つの条文ごとに守るべき法律の内容や定める目的、解釈が記載されているため、各条文の内容を確実に理解しながら就業規則を作成することができます。また、厚生労働省など国が作成するテンプレートの場合、不定期に行われる法改正の内容も随時対応した内容に更新されますため、対応がしやすくなります。

参考

まとめ

就業規則は働くなかで、重要な事項が記載されていますが、普段は軽視してしまいがちです。この機会に一度見直してみましょう。
また、就業規則でしっかりとした制度を、設計することにより、これから休業をしようとしている労働者や休業している労働者に、安心感を与え、モチベーションの維持につなげることが出来ます。就業規則飲み直しに関してはまた働き方改革を率先してきた企業の事例などを参考にしつつ社労士などの専門家と相談して企業にあった就業規則に修正を行うのもいいかもしれません。