公務員の副業解禁
公務員の副業解禁
働き方改革において民間企業では副業解禁の動きがありますが、公務員はどのような動きがあるでしょうか
現時点では公務員の副業は完全に解禁されていない
働き方改革によって、政府は副業・兼業を普及させようとしていますが、公務員の副業については副収入を得ることを目的としたものは原則として禁止されています。
まず、国家公務員については、国家公務員法によって原則として禁止されており、職員の所轄長などの許可を得れば不可能ではありませんが、実質的には難しい状況です。
地方公務員についても地方公務員法において同様の制限があります。
しかし、地方公務員、国家公務員のそれぞれに副業解禁に向けた動きはあります。
地方公務員
他の自治体に先駆けて、2017年4月には、兵庫県の神戸市が、NPO法人など公益性の高い地域貢献活動に限り副業を認めており、2017年8月には、奈良県の生駒市が、公共性のある組織での副業を認めています。公益性や地域貢献などが前提として、副業解禁の流れを見せ始めていると言えます。
国家公務員
政府は2018年6月に未来投資戦略2018というものを閣議決定しています。 その中では、多様で柔軟なワークスタイルの促進として、国家公務員については、公益的活動等を行うための兼業に関し、円滑な制度運用を図るための環境整備を進めるとされており、地方公務員の動きと同様に、国家公務員についても公益的活動などを目的とした兼業を認める方向で動いています。
公益的活動等の定義
この公益的な活動とは、具体的にどういった活動を指すのでしょうか。
厚生労働省が示している地域における公益的な取組についての規定があります。
これによると、地域における公益的な取組は次の3つの条件が必要です。
- 社会福祉事業又は公益事業を行うに当たって提供される「福祉サービス」であること
- 日常生活又は社会生活上の支援を必要とする者」に対する福祉サービスであること
- 無料又は低額な料金で提供されること
これは、平成28年改正社会福祉法において、社会福祉法人の本来の役割を明確にすることを目的に示されている規定ですので、国家公務員の副業制限容認における、公益的な活動にそのまま当てはまるわけではありませんが、この規定やそもそも国家公務員の副業制限が緩和されるに至った背景などを踏まえると、公益的活動等は、営利を目的とした民間企業や自営での副業・兼業ではなく、NPOやNGOなどの公益的な活動を行う団体での活動に限定されることになると思われます。
まとめ
国家公務員と地方公務員それぞれの副業解禁の動きで共通しているのは、公益的な活動に限定して、副業が容認され始めているということです。
公務員にも色々な方がいて、中には生活の安定を求めて公務員になったという方もいます。
しかし国民や市民の役に立ちたいという思いで、公務員として働いている方が大多数かと思われます。
そういった方にとっては、公務員としての仕事以外にも、人々の役に立つような活動することで、報酬が得られたり、スキルや人脈を培えることで地域社会に貢献し、互いのメリットとなるのではないでしょうか