2019/11/07

高度プロフェッショナル制度の問題点

高度プロフェッショナル制度の問題点

高度プロフェッショナル制度の問題点

高度プロフェッショナル制度は、残業などの時間外労働の概念がなくなることから残業代ゼロ法案とも呼ばれております。残業代ゼロ法案と批判される要因となった制度の問題点について確認してみましょう。

労働制度の悪用が主な問題

正しく運用されるのであればこれほど問題にはならないのですが、これらの制度は会社側が誤った認識をして制度を悪用する場合もあります。

残業代の概念が無くなる

高度プロフェッショナル制度では、労働時間の規定がなくなるため、残業や時間外労働という概念自体がなくなります。 つまりどんなに時間をかけて取り組んでも成果がでなければ賃金が上がらないので、事実上残業代ゼロ法案になるのです。

評価基準が難しくなる

高度プロフェッショナル制度で対象となる研究職などの業種は、成果を出すのに時間がかかることもあります。 また、成果の評価は業種ごとに異なるため、賃金格差が生まれる可能性があります。

本当に働かせたい放題になるのか

高度プロフェッショナル制度が適用された労働者は、原則として労働時間や休日の概念がなくなり、労働基準法の適用が大幅に制限されます。従来、労働基準法は労働者を保護するために休日や残業の制限などが行われていました。しかし、高度プロフェッショナル制度が適用されるとこれらの制限が及ばなくなり、いたずらに長時間労働を強いられる可能性が生じます。極端な話、24時間を何日働いていても、労働基準法違反にならない可能性があります。
ただし高度プロフェッショナル制度が適用されたるためには、健康の確保措置などについての労使委員会での決議や、対象労働者本人が同意することが必要です。また、年間104日以上、かつ、4週4日以上の休日確保を義務があります。働かせ放題にさせないためには、これらのことを労使双方でどのように守っていくかが鍵になります。

対象業務は国会の議論がなく拡大できる

高度プロフェッショナル制度の対象業務は現状専門業務となっていますが、厚生労働省令で定める業務となっており国会の議論を経ずに範囲が拡大される可能性があります。

交通費や通勤手当の問題

高度プロフェッショナル制度の年収要件は1075万円以上とされていますが、その金額に交通費や通勤手当が含まれるのか。審議では入ると回答されており、その中に住宅手当や資格手当なども含む可能性があり、実質の年収が想定よりも低い労働者にも、高度プロフェッショナル制度が適用されやすくなります。

まとめ

高度プロフェッショナル制度は、活用法によっては、柔軟な働き方を実現して日本企業の生産性を向上させるきっかけとなります。しかし残業代の扱いをはじめとして、制度の運用に関して解決しなければいけない課題が多く、長時間労働を合法化するための制度と批判されても仕方がない側面も持ち合わせています。今後も動向に注目する必要がありそうです。

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