2018/12/21

生産性向上の事例

生産性向上に向けた補助金・助成金制度

生産性向上に成功する企業の特徴

現場で知恵を出し合い効率化

カイゼンとは、おもに製造業の生産現場で行われている作業の見直し活動のことを指します。作業効率の向上や安全性の確保などに関して、経営陣から指示されるのではなく、現場の作業者が中心となって知恵を出し合い、ボトムアップで問題解決をはかっていく点に特徴があります。トヨタのカイゼンに代表されるように、現場主体の業務効率化としては、製造ラインにおけるものだけではなく、ホワイトカラー的なデスクワークでの効率化も含め、多くの企業で取り組まれています。

分散している業務を本社に集約

石油ファンヒーターを主力商品に製造販売する新潟県のダイニチ工業では、従来、商品を購入したお客様へのアフターサービスを県内外の各営業所で担当していました。しかし、少人数で構成される営業所では事務担当の社員が問い合わせ対応に追われることが多く、結果として残業時間の増加や、休暇も取得しづらい状態となっていました。

そこで、各営業所の業務を新潟本社のコールセンターへ集約。 コールセンターから各営業所にお客様対応を割り振る仕組みへと変更しました。 また、コールセンターで応対可能な問い合わせについては電話で対応を完結することで、各営業所の問い合わせ業務を軽減し、残業時間が大幅に短縮された上、休暇が取得しやすい環境を整えることができました。 この事例では、各地に分散し非効率になっていた業務を中央に集約することにより、効率性が向上し、それまでと同水準のサービスを生産性を維持したままで実現したことが示されています。

会議の効率を上げて労働時間削減

和歌山県で電子基板などを製造する大洋工業。 同社は企業理念に「会社は、いつの日も楽しく健康的に働ける場所でなければならない」という一文を掲げるほど労働環境の改善に熱心な企業で、特に労働時間の削減の取り組みを積極的に進めていました。 生産性を下げずに職場環境をより良くするため、改善の目が向けられたのは、会議の実施方法でした。

一般に会議といえば、とくに議論にかけられる時間も明確にされず、答えも出ないままダラダラと長引くことが多くあります。 そこで、同社では特別な会議を除いて「17時以降の会議開催を禁止」「開催時間は45分まで」を開催ルールとして定めました。さらに、会議は立ったまま実施する「起立会議」とし、少しでも早く終わらせられるような工夫も施しました。 これらの改革を経て、同社では3年間で月の平均所定外労働時間を約10時間削減させることに成功しました。日々の業務のなかには、効率化できる時間が多く存在し、日常業務を改めて洗い出すことで、生産性を落とすことなく効率を高めるきっかけになると考えられます。

作業工程のチェックリスト化

福井県で靴のインターネット販売を行うザカモアでは、受注業務に関する新人教育はOJTによる教育が中心で、新人が業務を習得し一人で作業できるようになるまでには、実に1年近くの期間がかかっていました。 そこで受注工程で行われる業務を抽出し、作業順に並べたチェックリストを作成し、作業内容をマニュアル化しました。 また、受注業務を進めながら手順をチェックする際にマウスとペンを持ち替える手間が増えるため、チェックリストは紙ではなく、全社員に配布したiPadで確認できるようにし、効率よく業務を進められる環境整備に努めました。 マニュアル作成にはある程度の時間を要したものの、約1年かかっていた新人の教育期間は大幅に軽減し、早い場合では1週間で戦力として活躍できるような改善を果たしました。 新人教育はその人材が戦力として独り立ちできるまでに長い期間がかかるだけでなく、教育を実施する先輩社員にも作業的・時間的な負荷がかかり、組織全体で生産性が落ちやすくなるポイントです。 教育方法の効率化も、生産性向上に向けた効果的な方法の一つです。

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